講義No.02246 医学

生物としての妊娠の適齢期

生物としての妊娠の適齢期

仕事か出産か

現代の女性は一生懸命に仕事をして、30代の結婚が当たり前になってきました。自分の仕事やキャリアを優先させるために出産を先送りにする人もいます。確かに仕事も大事ですが、子どもが欲しいと思った時に、気がついたらできにくくなっていたということがよくあります。女性は40歳を超えると妊娠が非常に難しくなります。ときどき、有名人が45歳で出産したとか話題になりますが、それは幸運でまれなことです。
不妊は男性の無精子や女性の排卵障がいが原因でも起こりますが、母体となる女性の場合には生物としての妊娠の適齢期も無視できません(結婚の適齢期ではありません)。好ましいのは20代です。出産で死亡する人は年間50人ほどいます。定義上は35歳以上を高齢出産と言いますが、死亡率を考えると20代が一番低く、30代から徐々にあがって、さらに流産や不妊症の確率も年齢とともにあがります。子どもへの影響を考えるとリスクが高く、母体の出血や危険な病気も増えたりします。

わが子は700万分の1と1億分の1の出会い

35歳という分岐点にきている女性が、今、出産するのか、もうちょっと仕事を頑張るのかという問題があります。妊娠に限界があることを知った上で仕事を選んだのなら仕方ありませんが、妊娠の生物的な適齢期を知らずに先延ばしにして、さあつくろうと思っても、その時は、もうなかなか簡単にできる身体ではなくなっていることがあります。
女性は約700万個の卵子を持って生まれてきます。ところが人生で排卵するのは500個ぐらいで、子どもが2人とすれば、たった2個の卵子しか使われなかったということです。一方、射精される精子は数千万~1回当たり1億個と言われますから、ものすごい確率をかいくぐってわれわれ人間は生まれてきているのです。妊娠・出産は、今も、まさに生命の神秘そのものです。

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名古屋市立大学 医学部  教授 杉浦 真弓 先生

名古屋市立大学 医学部 教授 杉浦 真弓 先生

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メッセージ

毎日9時から5時で終わる仕事で、自分の趣味を楽しむというのもいいのですが、自分が決めた仕事に一生を捧げていく生き方もあります。産科医の仕事はたしかに肉体的に大変な部分があります。夜中に赤ちゃんが危険な状態になったら助けてあげなくてはいけない。お母さんが危なくなったら飛んでいかなくてはいけない。それはたしかに大変だけど、流産を繰り返す人と何年もお付き合いして、その人が無事出産できたときの気持ちは、高い山にのぼって美しい景色を眺めたような達成感で、言葉では言い表せないほどの喜びです。

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名古屋市立大学は、医学部・薬学部・経済学部・人文社会学部・芸術工学部・看護学部・総合生命理学部の7学部とそれぞれの研究科およびシステム自然科学研究科からなる総合大学です。
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