望まない「不妊」を防ぐには
妊娠したくてもできない「不妊」
世の中には「不妊」に悩む人たちがいます。不妊とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態を指します。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」は1年が一般的と定義しています。そうなったとき、妊娠するための「不妊治療」は、治療のステップが進むにつれ、金銭的にもスケジュール的にも男女に大きな負担がかかります。
「結婚すれば妊娠できるだろう」は誤解
不妊治療のなかでも、体外受精や顕微授精といった高度生殖補助医療を受ける女性にインタビューした研究があります。彼女たちは全員が、「結婚したら子どもができると思っていた」「月経(生理)があれば妊娠すると思っていた」と答えました。現実は必ずしもそうではありません。生物学的に最も妊娠しやすい時期は20歳前後で、その後は加齢とともに妊娠しにくくなります。また、若くて月経があったとしても、性感染症や子宮内膜症などの疾患があると、妊娠する力は弱まります。こうした知識を持った上で、妊娠や出産というライフプランを描いておかないと、いざ子どもがほしいと思った時に「望まない不妊」や「やらなくてもいいはずだった不妊治療」が生じてしまうのです。
不妊の原因は男性にも
望まない不妊を防ぐために、知識を持つことの次に大切なのは、子宮内膜症につながるような月経痛や月経周期の乱れ、月経量の多さなどを放置しないことです。鎮痛剤や性能のよい生理用品に頼りすぎることなく、早めに婦人科を受診することが大切です。また、不妊の原因の半分は男性側にもあります。若いうちからの夜更かしや食生活の乱れ、喫煙などが精子の数や質に影響し、男性不妊につながります。
「まだ若いから大丈夫」「高校生の自分には関係ない」と甘く見ていると、将来後悔するかもしれません。避妊をしない性行為による「望まない妊娠」だけでなく、将来のリスクとしての「望まない不妊」を避けるための知識と行動が必要なのです。
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名桜大学 人間健康学部 看護学科 教授 阿部 正子 先生
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