光が作り出す、美しい宝石
行儀よく並んだ結晶が美しさのヒミツ
オパールという石を知っていますか? 見る角度によって、さまざまな色の光に輝くきれいな宝石です。オパールは数100ナノメートルという、小さなガラスの球がたくさん並んでできたもので、オーストラリアで多く採掘されます。自然の力でこんなものができるのか、と驚くほどの美しさです。
オパールの成り立ちは以下のようになっています。地質的な活動が起きた熱い水の中に、球状の二酸化ケイ素が溶け込み、条件によっては規則正しく並ぶことがあります。この状態の上に、さらに岩石が降ってきて、表面を覆い、固めてしまいます。できあがったのは、やはり岩石のようなものですが、その中には二酸化ケイ素のガラス玉の結晶が規則正しく並んだ構造が作られています。これがオパールです。
この規則正しい構造と美しい光の輝きは、大いに関係があります。光の波長と結晶の格子の面間隔がもし同じくらいなら、その特定の波長を持った光だけを反射するのです。これは“光の回折(かいせつ)”という現象です。光の波長と同じくらいの構造ができていることが大切ですが、オパールは二酸化ケイ素が規則正しく並んでいるため、角度によって結晶の格子の面間隔はさまざまです。このそれぞれが異なった波長の光をはね返します。だから、キラキラ光るのです。
波長によって色が変わる
光は波の性質を持っています。私たちはこの波を色に置き換えて、認識しています。私たちが見る色がさまざまに異なるのは、光の波の長さ、波長が異なるからです。そして、あらゆる波長のものが、同じ分量だけ混ざっている場合は、色はなくなって、真っ白に見えてしまいます。
オパールのように、キラキラと美しく光るものが人を惹きつけるのは、その色のせいでしょう。見る角度によって色が虹のように変わることを、“遊色効果”と言います。オパールの構造が引き起こした光の回折現象がその輝きの秘密です。もし、手に取るチャンスがあったら、じっくりと観察してください。
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先生情報 / 大学情報
名古屋市立大学 薬学部 教授 山中 淳平 先生
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