講義No.08918 教育

生きづらさを解消するための教育とは?

生きづらさを解消するための教育とは?

今の若者は、生きづらい?

生きづらさを感じている若者が増えています。サークル活動、アルバイト、SNS、就職活動など、常に何かに追われていて、学生生活を楽しむ余裕もありません。友人関係でも傷つけ合わないように衝突を避け、変な気の使い方をしたりします。
今一度立ち止まって、日常をふり返ってみましょう。学校で私たちは何を学んでいますか? 学びが日常に生かされていますか? 大学に進学する人の割合は増えているのになぜ世界の状況はよくならないのでしょう。教育は平和な社会づくりに貢献できないのでしょうか。こうした問いを考えていくのがESD(持続可能な開発のための教育)です。

先生に意見を言える、イギリスの小学生

授業で環境問題や戦争について子どもは学びます。節約をしましょう、人を傷つけてはいけません……それらを守らないと、先生が注意します。しかし、先生たちはどうでしょうか? ここでイギリスのある小学校の実践を紹介します。
子どもが校内のエネルギー消費量をチェックしたところ、月曜日がとりわけ多いことがわかりました。原因は先生たちが1週間分の授業準備をするために、コピー機を使っていたからでした。そこで、コピーの枚数を減らすため、ITを使ったデータのやりとりに替えるよう、子どもが提案しました。先生たちはその意見を受け入れました。もちろん、校内のエネルギーの消費量も減りました。
子どもの学びが問題解決に生きていること、また子どもが学校運営に関わり、意見を言える環境ができていることがこの実践からわかります。

多方面から行動や価値観を見つめ直す教育

ESDは、環境破壊・生物多様性の喪失・差別・偏見などの大きなテーマを扱います。ESDとは、自分の振る舞いや価値観を見つめ直して、自らの行動1つひとつを改善することにほかなりません。
自分の行動が環境破壊につながっていないか、他者を傷つけていないかなど、日常をふり返り、自分が問題を解決する担い手となり、新たな社会づくりに貢献していくための力を育むのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

名古屋市立大学 人文社会学部 心理教育学科 准教授 曽我 幸代 先生

名古屋市立大学 人文社会学部 心理教育学科 准教授 曽我 幸代 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

教育学、教育社会学

先生が目指すSDGs

メッセージ

教育学は、学校の中だけに限らず、社会や家庭での教育のあり方を考える、幅広い学問分野です。私の所属する学部では、特にESD(持続可能な開発のための教育)に力を入れています。世界中で起きている環境破壊・差別・偏見・貧困など、持続することが困難な状況を少しでもよくするように、誰もが幸せに暮らせるように、教育がどう貢献できるのかについて、あなたも一緒に考えてみませんか。
オープンキャンパスなどのさまざまな機会を通して、ぜひ、本学へ遊びに来てください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

名古屋市立大学に関心を持ったあなたは

名古屋市立大学は、医学部・薬学部・経済学部・人文社会学部・芸術工学部・看護学部・総合生命理学部の7学部とそれぞれの研究科およびシステム自然科学研究科からなる総合大学です。
大学の最も重要な使命は、優れた教育を通して地域および国際社会で活躍する有為な人材を育てること、すなわち「人づくり」です。知識の詰め込みではなく、自ら課題を見つけ、その解決に正面から取り組む姿勢を養うため、本学では、学生と教員の触れ合いを大切にし、演習、実習を重視する少人数教育を行っています。