コミュニケーションと公園

コミュニケーションと公園

子育てをする女性がストレスを感じる問題

現在の日本では、子どもができたことがきっかけで働くことをやめる女性がたくさんいます。子どもができたことで、生活の場が社会から、家庭や地域の中へ移り、環境ががらっと変わってしまいます。特に、核家族で生活をしていると住む世界が様変わりし、子どもを育てることが加わって、非常に大きなストレスを感じることが問題になっています。
建築計画、都市計画の分野でも子育ては重要なテーマで、地域の公園計画をどうするか? 地域の子育て支援施設やコミュニティセンターはどうするか? という施設計画は従来からありました。でも、施設を計画する前に、その地域ではどのようなコミュニケーションが取られているのか? を理解することが重要です。

地域の公園に求められる役割

公園を作るにしても、地域の特性を把握して公園を作らないと、あまり利用されず意味がありません。例えば、比較的若い世代が多く住んでいる新興の住宅地で、転勤者が多く住む地域では、住宅周辺に友人や知人が少ないこともあって、子育て女性は地域に溶け込もうと積極的にコミュニケーションを取るという特徴があります。このようなときに公園がコミュニケーションの場となります。そのため、しっかりした公園が必要になり、そこが地域のコミュニケーションの中心になります。逆に、新興の住宅地でも転勤者が少ない地域では、様子が異なります。このような地域では概ね近くに親が住んでいることが多く、頼れる人が周りにたくさんいるので地域への依存性が低く、公園は利用するけれども、積極的にコミュニケーションを取ることをしないようです。一方、古くからの伝統のある地域では知らない人でも積極的に挨拶をする傾向があります。このような地域では街全体がコミュニケーションの場所になるので、公園の担う役割が変わります。
このように地域に求められる環境は異なるので、一律に同じような公園を整備するのではなく、地域の住民の特性に合わせることが必要になるのです。

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先生情報 / 大学情報

名古屋市立大学 芸術工学部  准教授 原田 昌幸 先生

名古屋市立大学 芸術工学部 准教授 原田 昌幸 先生

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建築学、建築環境工学

メッセージ

芸術工学部の中では、建築デザインや都市デザインが一つのテーマになっています。一級建築士免許を取得するために、デザインだけではなく構造や環境といった、建築家になるための基礎能力を養うための授業も行っています。見た目は美しいけれど、生活しにくい建築物を造るわけにはいきません。その基礎となる環境工学や環境心理を担当しています。また、名古屋市立大学では1年生から実習に力を入れています。デッサン画から始まって、建築設計、都市計画実習もあり、従来の工学部の中では行ってこなかった内容も数多く含まれています。

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名古屋市立大学は、医学部・薬学部・経済学部・人文社会学部・芸術工学部・看護学部・総合生命理学部の7学部とそれぞれの研究科およびシステム自然科学研究科からなる総合大学です。
大学の最も重要な使命は、優れた教育を通して地域および国際社会で活躍する有為な人材を育てること、すなわち「人づくり」です。知識の詰め込みではなく、自ら課題を見つけ、その解決に正面から取り組む姿勢を養うため、本学では、学生と教員の触れ合いを大切にし、演習、実習を重視する少人数教育を行っています。