講義No.14237 建築学

古くて良いものは常に新しい 未来の建築は先人から学べ!

古くて良いものは常に新しい 未来の建築は先人から学べ!

時代とともに変わる建築ニーズ

「建築」には、家、学校、神社仏閣など、使う目的によってさまざまなスタイルがあります。また、ライフスタイルや経済状況の変化によっても、求められる建築の形が変わります。
例えば、今注目されている「コンバーチブル住宅」は、需要に応じて機能を変えられる建築です。また、コロナ禍で旅行者が減ったときに、ホテルを集合住宅に作り替えた例があります。経済状況が変化して、「一戸建て」を求める時代から「古い家をリノベーションして住みたい」と考える人が増えました。建築家の仕事に、インテリアデザインや空間デザインが必要になってきているのです。

サグラダファミリアに見る未来へのヒント

未来のニーズを見据えた新しい建築を創造する上で、「過去の古い建築」の思想や考え方を知ることが大切です。例えば150年前のスペインの建築家、ガウディによる「サグラダファミリア聖堂」は、ほかに類を見ない建築意匠が人々を魅了しています。実は、ここに込められたガウディの建築思想には、現代の建築に役立つ点がたくさんあります。例えば、サグラダファミリアは「換気」の工夫が行き届いており、コロナ禍以降、高気密を避ける空間づくりの参考になっています。また、ガウディは廃材利用にも力を入れており、今の時代、SDGsの観点からその先見性が再認識されています。

歴史的建築物の思想を

法隆寺のような歴史的な仏閣には「回廊」という様式があります。建物の外に屋根がついた通路が設けられて、「外の空間」を楽しみながら建物を行き来できる構造です。これを、現代に応用した別荘が建設されています。森林の中に建てた家の周りに室内から続く回廊があり、靴を履き換えなくても森林浴を楽しめて、現代の健康志向を満たす建築と言えます。
「古くて良いものは常に新しい」という言葉が、建築家の間で広く知られています。時代のニーズを知ることと、歴史的建築に込められた美学や思想を知ること、どちらも建築に欠かせない視点です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

東京工芸大学 工学部 建築コース 准教授 山村 健 先生

東京工芸大学 工学部 建築コース 准教授 山村 健 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

建築学、建築デザイン学

メッセージ

建築の魅力はチャレンジングなところです。建築家として仕事をするとき、施主さんも敷地も毎回異なるで、同じことは繰り返せません。そのため常に新たな挑戦が始まり、新たな発見を伴うことが建築の醍醐味だと考えています。そして、建築は世界中にあります。旅をしても、街を歩いていても、目にするものひとつひとつが刺激となります。なによりも建築は五千年の歴史があります。場所と時代を越えて勉強を楽しむことが、建築の勉強ではできるのです。新しい建築も古い建築も独自の視点をもってみることで、次の建築をヒントとなるのです!

東京工芸大学に関心を持ったあなたは

東京工芸大学は 1923(大正 12)年に創設された「小西寫眞(写真)専門学校」を前身とし、創設当初から「テクノロジーとアートを融合した無限大の可能性」を追究してきました。
工学部と芸術学部の 2 学部を有し、工学部は 1 年次に写真とデザインを学ぶことで芸術的なセンスを身につけ、芸術学部はメディアアートを通して工学的な技術を身につけるという、一見相反する両分野を融合させた教育を実践しています。