日本はどうする? コミュニティ・社会を支える住宅政策

日本はどうする? コミュニティ・社会を支える住宅政策

減らされる日本の公的住宅

「社会住宅」とは、国や都道府県・市町村などの公共セクターが何らかのかたちで支援する公的な住宅のことで、社会的弱者、主に低所得者の暮らしを保障・サポートするために必要不可欠な社会インフラです。古くから様々な社会住宅の仕組みが整っているヨーロッパでは、社会住宅が住宅ストックの3割を占めることも珍しくありません。一方、日本の公営住宅は住宅ストックの3%程度と限定的です。しかしながら、小さな政府を目指し、この3%は今後ますます減らされる方針です。国際的に貧富の差の拡大や、気候変動や紛争による難民の増加が問題となり、国連が政府は住宅供給に積極的に介入していくべきと提言するなか、日本はその逆を行っているのです。

世界最先端のフィリピンの防災集団移転

フィリピンでは、インフォーマル居住地(スラム)と呼ばれる場所に不法に占拠して住まう低所得者を対象に、先進的な社会住宅政策が取られています。彼らは川沿いなどの災害リスクの高い場所に住んでいることが多いのですが、そういった潜在的な被災者に対してフィリピン政府は融資を行い、2万5000世帯が安全な場所への移住を実現させました。
この政策の特徴は、移住はコミュニティ単位で行われる、つまりご近所丸ごと引っ越すという点、さらに移住場所や住宅デザインはコミュニティで話し合って決めていく参加型のプロセスを経るという点です。皆で移住することで、コミュニティが壊れず、移住先でも良好な人間関係や住環境が維持されます。また、移住の過程で様々な活動を共にし、一緒に未来を計画することで、コミュニティが一層豊かなものになっていきます。

日本はどうしていくべきか?

ヨーロッパやフィリピンの事例から日本が学ぶことはたくさんあります。被災後の移転や仮設住宅の供給方法はもっとコミュニティを尊重したものへと発展させることができますし、公営住宅だけに頼らない、しかし完全な利益追及型の住宅でもない、社会を支える新しい住宅供給の方法を皆で考案していかなくてはなりません。

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山口大学 工学部 感性デザイン工学科 准教授 白石 レイ 先生

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メッセージ

あなたは今、自分が本当に好きなこと、本当にやりたいことについて深く考える余裕がないかもしれません。しかし、「好きこそ物の上手なれ」です。自分が心の底からワクワクする分野を探し出し、思いきり飛び込んでみることが大切です。
建築分野に興味がある人は、地方に目を向けてみましょう。その地域の気候風土や伝統に呼応し、地域課題を解決するまちづくりの手段となる建築は、地域固有の学びが大いにある分野だからです。ぜひ、自分が住む地域や魅力を感じる地域の大学への進学を考えてみてください。

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