高齢男性を元気にする作戦! クリエーティブな「生きがい就労」

高齢男性を元気にする作戦! クリエーティブな「生きがい就労」

高齢男性の居場所はどこ?

長生きするだけではなく、介護を受けずに元気に暮らす「健康寿命」が注目されています。各自治体では高齢者向けにさまざまな健康教室やイベントを用意していますが、もともと地域の人と結びつきが少ない高齢男性の参加率はあまりよくありません。ではどこに参加しているかというと、「シルバー人材センター」であることが多いのです。日本の高齢者の多くは「働けるうちは働きたい」と考えているので、高齢者に仕事を紹介するこの団体に、抵抗感なく加入できるのです。そこにはサークル活動もあり、仲間づくりや健康づくりを兼ねた第三の居場所となっています。

自由に支え合う北欧の老人クラブ

海外に目を向けると、北欧のデンマークでは会費制の「老人クラブ」活動が盛んです。美術館やスポーツ教室などが割引になり、自由にボランティア活動をして高齢者同士が支え合っています。例えば携帯電話会社を退職した人がパソコンを教えたり、高級食器の絵付けをしていた人が絵を教えたりします。また一人で外食したくない人のために一緒に外食をしたり、自転車が乗れなくなった人を自転車の前に乗せたりするボランティアも行われています。北欧の国々は「幸福度ランキング」で上位を占めますが、そのような活動が高齢者の幸福感につながっているのでしょう。

生きがいづくりは健康づくり

日本のシルバー人材センターでも、劇団を立ち上げたり、うどん店やカフェなどを開いたりと、ユニークな活動が見られます。そこでは「今、何が流行しているか」「どうしたら楽しんでもらえるか」「どうしたら商品を買ってもらえるか」というクリエーティブな発想が必要で、それが高齢者の「やりがい」「生きがい」につながっているようです。ボランティアやサークル活動に加え、今後はこのような「生きがい就労」が大切になるでしょう。高齢者の「生きがい」をどうつくっていくかが、地域の健康づくりを担う保健師の役割の1つでもあります。

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先生情報 / 大学情報

石川県立看護大学 看護学部 看護学科 地域・在宅・精神看護学講座 教授 米澤 洋美 先生

石川県立看護大学看護学部 看護学科 地域・在宅・精神看護学講座 教授米澤 洋美 先生

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公衆衛生看護学、地域看護学

先生が目指すSDGs

メッセージ

日本の看護職の中で、保健師は全体のわずか4%ですが、特定の患者ではなく、地域にいるすべての住民を元気に、健康にする役割を担っています。その内容は「公衆衛生」という言葉があてはまりますが、「衛」という字には立ちはだかってまもるという意味があり、不健康なことから住民をまもり、健康的な社会をつくっていくというスケールの大きさがあります。社会のひずみは高齢者などの弱者に影響します。そんな立場の人たちに対しても、普段の生活から健康をまもることができる素晴らしい職業です。

先生への質問

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石川県立看護大学はこれからの看護職、看護研究者を育成するために、1.DXの推進2.国際的な視点での看護3.産学連携の推進4.防災や災害時の対応に関する教育・研究の充実の4点を、特に重要と考え強化を進めています。
本学は看護師・保健師のダブルライセンス受験資格を取得できる全国的にも数少ないカリキュラムを実施しているほか、学生一人当たりの教員数も北陸地区の看護系大学では最大級であり、なりたい自分をサポートする環境が整っています。ぜひ一緒に本学で学びましょう。