人間と自然が調和した空間づくり
自然への関心は「美しい!」から
北海道では、春になるときれいな野生草花が一面に咲く景観を見ることができます。このような野生草花の景観を見ると素直に「美しい」と感じるはずです。この感動が、自然全体に興味を持つことの一歩になるのです。
野生の草花の咲く景観を作るには
自然を守るためには、手つかずのままにする考え方もあります。しかし、人間の手を入れないと、ササやススキなどに覆われて、やがて樹木に置き換わっていく場所もあります。もちろんこのような状態も重要なのですが、美しい野生草花の大きなお花畑があると注目度は高まるでしょう。それをきっかけに美しい花だけでなく、自然全体にも興味を持つようになるでしょう。
このように、北海道特有の美しいお花畑の景観を維持しようと考えるのなら、放ったらかしでは駄目なのです。人間がササやススキを刈り取ることで、あるいは馬や牛がササを食べることで、その下に被圧されている野生草花の生育が助けられ、その結果大きな群落(お花畑)が創出されることになります。そのような場所は、北海道ではいくつもあります。人間が少し手を加えて創られたこれらのお花畑は、レクリエ-ション、観光、環境教育にも役立っています。
種子を利用してお花畑を創る
野生の草花の咲く景観を創るための、もう一つの方法は、種子を利用する方法です。すでにそこにある群落を広げるためには、人間がほかの植物を刈り取ってやるなどの少し手を加える方法が最も適しているのですが、すでに完全に無くなってしまった場所や新しい場所に、群落を創る場合には、どうしても新たに導入することが必要です。新しく導入するためには球根の移植も考えられますが、この方法は元の群落を損なうことにもなりかねません。その点種子ならば、元の群落を損なう程度は少なくなります。そのためには、これらの植物の複雑な種子発芽のための仕組みを明らかにする必要があるのです。
このように、造園学は、人間の生活と自然が調和した空間をつくることを目標としている分野です。
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