病院の現場の最前線で、診療情報を管理する
診療情報を管理する
患者と相対する臨床医と違い、病理医は病気の診断を専門に行う医師です。採取された生検や細胞などを顕微鏡で見るなど、さまざまな検査で、数値などのデータを取得します。合わせて、似たような症例のデータなどと引き比べ、検討しながら最終的な診断をくだしています。
早く正確な診断には、過去のデータの集積と、これらの診療情報管理がとても大切です。診療情報はいわば宝の山ですが、同時に、個人情報の中でも特に慎重に扱うべきものだからです。患者のカルテの内容精査と、管理を行うライブラリー作業や、診療情報をデータベース化するなどして、情報の面から日本の医療の品質を守るのが、「診療情報管理士」です。
病院が情報を扱うということ
現代の医療現場では、一人の患者に実に多くの医療従事者が関わり、数多くの診療情報が扱われます。病理医は、診断結果によって患者さんに渡す情報と、そうでない情報とを見極めます。病院ではさらにインフォームドコンセント(「説明と同意」)やその後のケア、さらにほかの専門病院へ移す場合の情報の渡し方まで、すべてに気を配ります。このように診療情報はあらゆる場面で、またあらゆる形で扱われます。そのため、以前から診療情報管理の標準化が求められてきました。すでに体系化されている国もあります。日本においても診療情報の管理が適切に行われる必要があり、そこでの診療情報管理士の役割は大変重要です。
デジタル技術の進歩が、診療情報管理の進歩に
情報技術の進歩は本当に目覚ましく、医療現場もデジタル技術の進歩とともに様変わりしてきました。例えば病理医と、遠隔地や病理医のいない地方の病院とをオンラインで結び、より迅速で正確な診断が可能です。
医療の質の向上と、情報技術の向上はリンクします。デジタル化の加速で、診療情報管理士も常にIT知識のアップデートが必要です。これからも進化したデジタル技術で、より良い医療環境の実現が求められているのです。
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名桜大学 人間健康学部 健康情報学科 上級准教授 大城 真理子 先生
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