物質のミクロの動きを解き明かす「量子力学」
物質の最小単位の概念「量子」
「量子力学」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「量子」とは、ものごとの基本になる最小単位の粒子を指します。原子や原子核もその仲間です。光も量子の一種で、光子とも呼ばれます。量子力学によれば、量子は「波」としての性質と「粒子」としての性質という一見矛盾した特徴を同時に持っています。例えば、光は「波」として干渉して縞模様をつくります。一方で、物質に光を当てると光は「粒子」としてビリヤードの玉のように電子に衝突し、電子を物質の外に弾き出します。このように量子は、波動性と粒子性という一見矛盾した特徴を持っています。
古典力学と量子力学
大きな物体の運動法則を与える古典力学の世界では、砲丸投げの選手が砲丸を投げるとき、初速や投げる角度などの条件が定められれば、「100%の確率で20m先の地点に落ちる」というような確定的な予測が出されます。
しかし、極微の量子力学の世界では違います。量子は「波」として広がるため、例えば、電子をスクリーンに向かって発射するとき、「ある1ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)四方の範囲でスクリーンが光る確率が10%、ほかの1ナノメートル四方の範囲に見つかる確率が20%」というように、確率が絡んだ不確かな予測が出されます。これは「不確定性原理」とよばれる量子力学の原理に関係しています。
意外に身近な「量子力学」
電子や原子核の単体としての性質だけでなく、それらの集合である物質の性質を解明するのにも、この量子力学の理論が必要になっています。例えば、どのようなものに電流が流れるか、なぜ磁石は磁石になるのか、なぜ物質は化学変化するのか、なども量子力学なしでは根本的な理解はできません。このように、量子力学は私たちの身の回りのさまざまな現象を解き明かすカギになっているのです。
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先生情報 / 大学情報
神奈川大学 理学部 理学科 教授 木村 敬 先生
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物理学先生への質問
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