病気を引き起こしやすい性格とは

病気を引き起こしやすい性格とは

心理学を“体”に生かす

心理学の知識を、心だけでなく体にも生かしていこうという観点から始められた新たな心理学の分野が、「健康心理学」です。
その中で、人の性格が、がんや心臓病に関係することがわかってきています。特に欧米の研究によって、がん、心臓病(心筋梗塞や狭心症など)にかかりやすい性格傾向があることが判明しました。

感情の抑制が原因となって病気にかかる

「自分の感情を押さえ込んでしまう」「気が進まない誘いを断りきれず付き合ってしまう」などの性格傾向はがんへの免疫力を低下させます。このような人々の血液を調べてみると、長期的に免疫力を低下させていることがわかったのです。
例えば、がん細胞ができても、免疫力が強ければ自然に退治でき、極端な増殖を防ぐことができます。逆に免疫力が弱ると増殖を抑えられません。しかし、すぐ病気になるというわけではなく、5年、10年という長期間にわたってがん発症のリスクは徐々に高くなっていくと言えます。

完璧主義はうつになる傾向が

さらに、「臨床心理学」ではうつになりやすい性格の研究も行われています。うつになる原因はさまざまですが、ストレス(落ち込み、不安、イライラなど)が溜まり、そして、ストレスを発散できないままでいると、心や体にダメージが加わり、うつになるとされています。
ストレスを強く感じやすい人の傾向として「完璧主義」「几帳面」「ネガティブ思考」などが挙げられます。人間は誰でも失敗がつきものなのですが、必ず100%完璧にしなければいけないと自分を追い込んでしまうのです。
あまりにも几帳面で真面目で完璧主義傾向の人は、自分の失敗に厳しく、その反動でうつになるリスクが高くなります。
対処法としては、自分の性格を十分に把握し、少し力を緩め、オンとオフを切り替えるなど、調節できるようにすることが挙げられます。
楽観主義は心身の健康に良いと言われています。あまり悲観的に考えすぎないように心がけていくことが大事です。

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先生情報 / 大学情報

神奈川大学 人間科学部 人間科学科 教授 瀬戸 正弘 先生

神奈川大学 人間科学部 人間科学科 教授 瀬戸 正弘 先生

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健康心理学、臨床心理学

メッセージ

臨床心理学のベースには倫理や哲学があり、人間のとらえ方や人間観などはその影響を受けています。また、文化、異文化の特徴をとらえるには日本史や世界史を、心理テストを作るには統計学と数学を、免疫、遺伝、自律神経など体の仕組みを理解するには理科や保健体育を、さらに困っている人に支援・援助するときにはいろいろな社会制度のことも知らなければなりません。高校で学ぶ科目・内容は大変役に立ちます。受験を考えると効率は悪いかもしれませんが、最初から線引きして絞りすぎず、好き嫌いなく学んでおきましょう。

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1928年創立以来、真の実学をめざし、自ら成長できる人材を育成してきました。近年では2021年、グローバル系3学部が集うみなとみらいキャンパスが誕生。2022年、「建築学部」を開設、2023年には理工学部を改組し「化学生命、情報学部」を開設。文理11学部すべてを横浜エリアに集結させ、世界レベルをめざす総合大学として、新たな一歩を踏み出しました。
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