社会実験からにぎわいのあるまちづくりを考える
駅前の空き地に何が必要か
いつも利用する駅の前に空き地があるとします。その空き地の利用の仕方次第でまちのにぎわいが決まるとしたら、その地域のニーズや求める姿に合った場所や施設となるべきです。では、地域のニーズや求める姿はどうやって見極めればいいのでしょうか。
実験的取り組みでニーズを探る
ある駅前の空き地では、3回の実験的な取り組みが行われました。1回目はアートをテーマにした、地元のチョーク製造会社の協力を得たチョークアートのイベントの開催です。開催日が節分だったため、空き地に描かれた大きな鬼の絵に、参加者がチョークで色を塗るというものでした。家族単位で参加する割合が多く、子ども連れの家族というターゲットが存在することがわかりました。2回目はスポーツをテーマに、大学の陸上競技部駅伝チーム監督によるランニング指導やヨガ教室、親子を対象としたワークショップのほか、キッチンカーでの飲食の提供も実施されました。ここでも、やはり親子連れのニーズが高いことが再確認されました。3回目は2日間連続で空き地を朝から開放したとき、どのような行動が生まれるか実験で検証し、当日は、飲食業者の出店、地元の歴史まちづくり団体によるイベント、音大生による演奏会などを設定し、空間の使われ方もリサーチされました。
地域に合わせたまちづくり
これらの社会実験から、駅前のこの場所は子どもを遊ばせることができ、多世代が交流できるような空間が望まれていることがわかりました。次の段階では、この結果をベースとしてさらなる土地利用を試み、より的確なニーズをつかんでいくことになっています。
土地の利用やまちづくりは、ハード的な整備はもちろん必要ですが、その前提として、暮らす人にどんな影響を及ぼすのか、暮らす人が何を望んでいるかというソフト面の調査が重要です。地域ごとに、住んでいる人も意見も、その場所に対する思いも違います。その声に耳を傾け、いかに適切な利用を導くかがまちづくりの鍵となるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
神奈川大学 建築学部 建築学科 准教授 上野 正也 先生
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