カウンセラーはクライエントと社会の架け橋
「心理学」イコール「カウンセラー」なの?
心理学と聞くと、すぐにカウンセラーを思い浮かべる人も多いと思いますが、心理学はいろいろ学ぶ領域があります。例えば、交通事故の再発防止など、日常生活に密着した人間の行動・感覚を追求する「応用心理学」、人間の出生から高齢期まで心の成長を追求する「発達心理学」、そして心の病を予防・治療するための理論や技術を学ぶ「臨床心理学」などがあり、これらを学んだ人は、カウンセラーだけでなく、企業の商品開発者や公務員など、いろいろな場所で活躍しています。
時代によって変わるカウンセラーの仕事
心理学を学んだ人は、多くの場面で活躍していますが、カウンセラーも年々活躍の場を広げています。学校にはスクールカウンセラー、職場には産業カウンセラーが増えてきました。昔に比べ身近な存在になった「カウンセラー」ですが、仕事内容は時代によって少しずつ変化しています。以前のカウンセラーは、クライエント(相談者)の話にじっくりと耳を傾け、その人が自分自身への理解を深め、自らの力で心の悩みを解決できるように援助するというスタンスでした。ところが最近は、話にただ耳を傾けるだけでは、自己理解や回復や成長につながらないような場合も増えてきました。そのためカウンセラーが積極的に社会との接点を持たせるような働きかけをする必要が増えてきています。
客観的視点で共感疲労をブロック!
カウンセラーがクライエントと社会の架け橋になれば、クライエントは再び社会復帰することができます。しかしクライエントとの距離にはじゅうぶん注意しなければなりません。感情移入しすぎて友だちのようになってはいけないし、冷たくしてもいけません。ほどよく距離を保つことが重要なのです。これができないと、「共感疲労」といってカウンセラーとして燃え尽きてしまう危険性があります。熱心なだけでは専門家は務まりません。心理実験などで科学的な考え方を学び、どのような状況でも、常に第三者的視点を持つことが大切です。
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先生情報 / 大学情報
中京大学 心理学部 心理学科 教授 神谷 栄治 先生
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