海洋工学で海を有効に、地球にやさしく使っていこう!

海洋工学で海を有効に、地球にやさしく使っていこう!

海洋工学で海の利用法を考える

海洋工学とは、海という空間をどうやって利用するかを考える学問です。海にあるものといえば、魚だけでなく海底火山や海洋深層水、波などさまざまなものが思い浮かぶでしょう。日本は周囲を深さのある海に囲まれ、排他的経済水域の広さは世界屈指の国です。2007(平成19)年より、海洋基本法が施行され、海洋の開発・利用そして海洋環境の保全との調和が日本の海洋政策の柱の一つに位置づけられました。今後ますます海の活用は注目されるようになり、海の可能性を引き出すために、海洋工学の出番も多くなることでしょう。

注目される洋上風力発電・波力発電

海洋空間の活用法の一つとして挙げられるのが風力発電です。風力発電は、送電やメンテナンスに必要な分以外はCO₂を出さないのでエコロジーの面でも注目されています。海上は陸上に比べて風が強く、また当然広いので大きくて効率的な風車を設置することができます。ただし、日本の海は深いので、海に浮かぶ新しいタイプの風車を開発する必要があります。
風力のほかにも、イギリスを中心として波の動きを利用した波力発電の開発が進められており、アジアの中では比較的波の強い日本での開発も期待されています。これらの技術開発は海洋工学なしには進みません。

環境との関わりも重要

海は地球の表面積の多くを占めており、海洋工学と環境の問題は切り離せません。人間がきちんと海をコントロールしていけるシステムを考えるのも海洋工学の大きな役割なのです。例えば、タンカーの事故で海に原油が広がったとすると、海洋工学の考え方を応用したシミュレーションでは現在の姿だけでなく、1日後はどうなるか、1週間後は、と予測して回収船をどう使うか考え、海や海岸を守ることも海洋工学の役割です。
今、地球がどうなっているか、人間が何をしているかを常にチェックしながら、海という空間の可能性を引き出していく海洋工学は、環境の世紀と呼ばれる21世紀にさまざまな形で活躍することが期待されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

横浜国立大学 理工学部 機械・材料・海洋系学科(環境情報研究院) 教授 村井 基彦 先生

横浜国立大学 理工学部 機械・材料・海洋系学科(環境情報研究院) 教授 村井 基彦 先生

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海洋工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校生のころ、定期テストが終わるとよく釣りに行きました。そんな高校生の時に抱いた“海に関わる何か”は面白そうだという漠然とした思いを持ち続けて、今は“海洋工学”という分野の研究をしています。日本は海に囲まれているので、海に親近感を持ってくれる人は多いと思います。が、なんだか空気のようでともすれば存在を忘れられがちです。世界と日本の間に存在する“海”を味方につけることは、日本にとっても世界にとっても大切です。海を味方にする技術や研究に興味がある高校生を、“海洋工学”はお待ちしています。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

横浜国立大学に関心を持ったあなたは

横浜国立大学は、高い国際性と実践的な学問を尊重し、社会に開かれた大学をめざします。全学部の学生がひとつのキャンパスで学び、学部の垣根を越えた交流ができ、国立大学には数少ない経営学部も置かれています。新しい潮流を起こして21世紀の人類社会に貢献できるよう、社会からの要請を的確に把握し、国民から委ねられた資源を有効に活用しつつその活動を開放し、社会の期待に応えます。