橋のデザインには必ず理由がある!
形の良さだけでは橋は成り立たない
橋(橋梁:きょうりょう)にはアーチ橋や吊り橋、桁橋(けたはし)などさまざまな形があり、アーチが1本のもの(モノアーチタイプ)や柱の細いものなど、それぞれにバリエーションがあります。これらの構造形式やデザインは、単に形がカッコいいからというだけで決められるものではありません。橋は公共構造物であり、みんなが使い、公のお金を出すものですから、そこには構造的な合理性や理由がなくてはならないのです。
例えば、香港にあるストーンカッターズ橋は、風で橋げたが振動しないよう耐風安定性を重んじた斜張橋(しゃちょうきょう)です。ただ、香港は地震が少ないので耐震面でのコストの削減を図っています。造る地域によって求められる橋の特性が変わる上、もともとコストが大きいため、少しでも削減できるよう工夫していくことが橋のデザインには求められるのです。
日本の橋の現状
現在、日本の橋は古くからの問題を克服して、新しいデザインに生まれ変わりつつあります。
兵庫県の余部(あまるべ)鉄橋の材料は約100年前にアメリカから輸入されたものです。橋そのものの機能は高いのですが、風が強いときに安全を考えて列車を止めなければならない場合がありました。防風柵を新しく造ると、風による荷重に橋が耐えられないので、橋を造り直すことになりました。
また千葉県の銚子大橋は、1960年代に予算を削ってぎりぎりの鋼材で設計したため、メンテナンスに限界があり、横に斜張橋を架けることになりました。
さいたま新都心大橋の工程
埼玉県のさいたま新都心大橋の場合、作業に多くの制限がありました。JRの重要路線が走っているため、列車運行に影響のないよう深夜2時間のみの作業だったのです。そこで、1つの橋げたを4つのブロックに分け、別の場所で組み立てた橋を線路上に渡された手延機(てのべき)で運んでいく形になりました。
橋のデザインを決める要素は、土地の特性を考慮した安全性や経済効率、コスト、工程など多岐にわたるのです。
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