日常生活と直結するアートとデザイン
自分のためのアートと世の中のためのデザイン
アートとデザインは180度違う全く別の世界です。
アートが必要とする発想の源は自分自身です。きれいだと思う心や未来像、大切な風景などが自分の中にあって、まだ誰もきれいだと表現していないけれど、世の中の人はどう思うのだろうか、と問題提起をするのがアートです。そのテーマは、なぜきれいで好きだと思うのか自分でもわからないモヤモヤしたものですが、ひとつの提案であって答えではありません。
一方、お店を開きたい人、変わったコンセプトのファッションを考えたい人など、ある商品が必要になったという社会の中の問題を解決するのがデザインの仕事です。自分が何をやりたいのかではなく、人のため社会のため世の中のために、何をすべきかを考えて解答を提示するのがデザインなのです。
自分の中の解答探し
アートでもデザインでも、良い物を作るためには、良い物をたくさん見る必要があります。普段から自分の刺激になることを意識しながら物を見て“良いな、かっこいいな”と思うことがあると思いますが、なぜそう思うのかという疑問に対して、自分で解答を見つけることで、物事の仕組みを考える習慣が身につきます。この訓練の繰り返しにより、自分が想像したものを自分の手を動かすことで形に表すことができるようになります。
例えば、空き箱で何を作ろうか考えるなど、身近にある物から違う物へ、自分なりに変えてみることも良い訓練になるのです。
引き出しを増やそう
また、物を作っていくときにはさまざまな工夫が必要で、そのための「引き出し」をたくさん持っていなければいけません。その引き出しとは、必ずしも直接物を作るための知識や技術だけではなく、発想の展開力や、造形全般のアイデア力を含みます。引き出しを増やすには、貪欲な好奇心が必要です。
このように、日常から自分の刺激になることを意識し、さまざまな工夫をすることが、新しいものづくりへとつながります。アートやデザインは、身近なところから出発しているのです。
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先生情報 / 大学情報
明星大学 デザイン学部 デザイン学科 教授 西本 剛己 先生
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