緊張しておなかが痛くなっても大丈夫! 認知行動療法で自分を変える

緊張しておなかが痛くなっても大丈夫! 認知行動療法で自分を変える

学校に行きたくない時おなかが痛くなるのはなぜ?

学校に行くのが嫌な時、おなかが痛くなったことはありませんか? 「気のせいだから」「頑張って行きなさい」と言われたかもしれませんが、「過敏性腸症候群」という疾患の場合があり、我慢したり放置したりすると、ストレスが増して症状が悪化することもあります。実は、なぜストレスが腸に影響するのかは、医学的には解明されていない部分があり、本質的な治療法が確立されているとはいえません。しかし、心と身体の関係を考える「心身臨床心理学」の分野では、心理学的対処法が確立されてきています。

自分の考え方のクセを把握しよう

学校に行く途中におなかが痛くなり、トイレに行けなくて困ったとします。「またおなかが痛くなったらどうしよう」と気になって、通学が苦になり頻繁にトイレに駆け込むかもしれません。この症状には、「認知」が関係していると考えられます。「認知」とは心理学用語で「考え方のクセ」を指します。
過敏性腸症候群になりやすい人は一度登校中におなかを壊すと、「次もまた痛くなるのでは」「トイレに間に合わなかったらどうしよう」とネガティブに考えてしまうクセがあるのが特徴です。真面目で几帳面な性格の人が陥りやすい思考回路ですが、心理療法の一つである「認知行動療法」は、このクセを自分で客観的に把握し、変えていきます。

自分を客観的に見ることで、多様で柔軟な自分に!

過敏性腸症候群の治療として、ワークシートに自分の行動とその時の気持ちを書き出す、セルフモニタリングという方法があります。文字にしてみると「おなかが痛いのはある特定の日だけの出来事だった(おながが痛くならない日のほうが圧倒的に多い)」「これまで一度もトイレに間に合わなかったことはない」というように、自分の行動や思考を客観的に把握することによって、別の可能性を見出し、思考を柔軟かつ多様的なものに切り替えることができるようになります。そのことにより、心に余裕が生まれ、結果的におなかの症状がよくなっていくことが多いのです。

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明星大学 心理学部 心理学科 教授 藤井 靖 先生

明星大学 心理学部 心理学科 教授 藤井 靖 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

臨床心理学、認知行動科学、ストレス科学

メッセージ

あなたは「心」とはどんなものであると考えていますか? 「心」は目には見えませんし、形があるわけではありません。心理学では、その「心」を目に見えるようにし、科学的に検証することをめざします。それは数字で表せるかもしれませんし、絵や動作といった非言語的なものかもしれません。あるいは認知や対処行動のような、心を反映していると考えられる概念や、頭痛、腹痛といった身体の症状を通して表現できるかもしれません。心理学を学ぶことを通して、「心」について実証的に検討することにチャレンジしてみませんか。

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