病気の人もウェルビーイングな毎日を! 看護学で学ぶ健康観

病気の人もウェルビーイングな毎日を! 看護学で学ぶ健康観

「病気=不健康」とは限らない

WHO(世界保健機関)では、健康とは「病気でないとか弱っていないということではなく、身体的にも精神的にも社会的にも満たされた状態にあること」と定義しています。身体的・精神的・社会的に良い状態にあることを「ウェルビーイング(Well-being)」と言います。病気や障害があっても適切なケアやサポートを受けてウェルビーイングでいられるなら、その人は健康な毎日を送ることができます。ウェルビーイングは「幸福、幸せ」と訳されることもあります。

ウェルビーイングは人によって違う

看護師は病気のある人のウェルビーイングを考えながらケアやサポートを行いますが、同じ病気であっても、適切なケアやサポートは患者によって違います。ウェルビーイングはその人が大切にしていることや置かれている環境、対人関係などによってさまざまだからです。このため看護学では、患者・家族の健康観や死生観、家族観などについて考えることが大切な学びの一つとなっています。

患者・家族の体験を知り、健康観を考える

患者の健康観や価値観を理解するには、患者の実体験を知ることが役立ちます。ある研究者は、国の指定難病であるALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者・家族にインタビューして、その体験やQOL(生活の質)、ウェルビーイングを探る研究を行っています。ALSは運動神経が変性する病気で、徐々に体が動かなくなり、できないことが増えていきますが、病気が進行してもケアやサポートを受けながら仕事をしたり、一人暮らしを続けたり、海外旅行を楽しんだりする患者がいます。
この研究では、患者・家族の体験は個人差が大きいものの、以下のような人のウェルビーイングが高いという結果が導き出されています。具体的には、できなくなったことを受け入れて、自分の考え方や価値観、生活や家族のスタイルを変化させている人、また会話が難しくなっても文字盤やパソコンなどを使い他者とのコミュニケーションを持つ人です。

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先生情報 / 大学情報

創価大学 看護学部 看護学科 教授 内山 久美 先生

創価大学看護学部 看護学科 教授内山 久美 先生

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療養生活看護学

メッセージ

あなたはこれからさまざまな人の影響を受けながら、大人になっていきます。ぜひボランティアなど校外の活動にも参加して、多様な人の言葉に耳を傾け、自分の人生観や価値観を確立してください。もし自分の思いをアウトプットするのが苦手なら、他者とのやりとりや自分が感じたことを文字にして書き留める習慣をつけましょう。そうすれば、自分の気持ちや考えを言葉にして相手に伝えられるようになり、「困っている人を助けたい」「人の役に立ちたい」といった思いを行動に移せるようにもなるはずです。

創価大学に関心を持ったあなたは

創立以来、学生と教職員が大学を創る者として、互いに対話、研鑽を重ねながら大学の価値を高めてきました。こうした教育・研究および社会貢献の成果は、文部科学省のGP(Good Practice)採択など、外部からの高い評価となり、普遍的な価値として、現代の大学教育に大きな示唆を与えています。また国際化が叫ばれる中、69カ国・地域、260大学との交流協定は、真の国際人養成に大いに貢献できることでしょう。