自然環境と呼応した地域性のある住まい

自然環境と呼応した地域性のある住まい

環境と呼応する

建材の性能と流通が向上した現在の日本では、日本全国どこに行っても同じような高気密・高断熱の家が建っています。しかし、日本は地域によって自然環境が違っているため、本来は各地の自然環境に適した家が理想です。

外の光を部屋にうまく採り入れる

例えば、北陸の富山県では11月から翌年の2月ごろまでの冬の期間、雪が降ったり曇ったりして、晴れるのは月に2、3日ぐらいです。そのため日中でも暗い日が多く、照明が必要な日も少なくありません。そこで、考えられる住宅のプランとして、部屋と部屋を仕切る壁の中に空間を作り、その天井部にトップライトを設けるといった提案があります。このプランでは、部屋の壁にも開口部を作ることによって、トップライトからの光を各部屋に採り入れることができ、それぞれの部屋は外に接している面の窓と合わせて、4面での採光と通風が可能になり、明るく快適に暮らすことができます。
また、富山県の家は全国の平均より広いです。しかし、冬は暖房の効いた部屋しか使われていないことが多く、せっかくの広い家を有効に活用できていません。「土壌蓄熱式床暖房」は、電熱パネルを土の中に敷設し、土壌と基礎のコンクリートを蓄熱層とするもので、夜間電力を使って家全体を暖めるものです。これを使えば室温が1日中安定するので、2階も含めたすべての部屋を有効に使うことが可能となります。

明るく、楽しく、快適に暮らす

部屋と部屋との間に作られた空間の上部には開口が設けてあります。上昇した暖かい空気が開口部から外へ出て行き、その代わりに部屋の中に空気が入ってくるため、自然の風が各部屋を通り抜け、涼しく暮らせます。
北陸の自然環境を生かして明るく、楽しく、快適に暮らせる住宅の提案のように、日本各地でも風土や地域性を考えたその土地特有の住まいが求められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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富山大学 芸術文化学部 芸術文化学科 造形建築科学コース 准教授 横山 天心 先生

富山大学 芸術文化学部 芸術文化学科 造形建築科学コース 准教授 横山 天心 先生

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建築設計学

メッセージ

富山大学芸術文化学部では、地域と密着した建築や都市のデザインの在り方を学ぶことができます。地方が抱えている課題を肌で感じることができ、地域の人たちと一緒になって建築や都市を考えることができます。さらに、地方都市の抱える問題は共通点が多いため、そこで得られた解決策は、ほかの地域にも転用可能であり、結果として地方から日本を元気にするものにもなり得ます。単に建物のカタチを考えるだけではなく、自分で能動的に考え、何がいちばん適切な解決策なのかを判断する力のあるあなたにぜひ学んでほしいと思います。

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本学は東海・北陸の国立大学のなかで、学部数では名古屋大学に次ぐ2番目、学生定員数(学部)では名古屋大学、静岡大学に続く3番目の規模となる9学部20学科を擁する総合大学です。
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