カップヌードルは発売当初、まったく売れなかったって本当?
よい商品が必ず売れるとは限らない
日本が生んだ世界的な発明の一つと言われるほど、「カップヌードル」は画期的な商品です。ところが、1971年に発表されたときには、まったく売れませんでした。流通の要となる問屋が、扱うことを拒否したからです。
カップヌードルは、それまで誰も見たことがない新商品でした。そのため問屋をはじめとする流通業者にその価値が理解されなかったのです。従来の袋入りのラーメンと比べて値段が4倍も高く、風変わりなカップ状の容器に入った商品としか見なされず、そんなものが売れるはずがない、と問屋は判断したのです。
カップヌードルに込められたメッセージ
メーカーにとって、カップヌードルは社運を賭けた商品でした。従来の袋入りインスタントラーメンとは一線を画すため、「カップラーメン」という名前ではなく「カップヌードル」と名付け、新しい食べ方を提案するために、容器にはお箸ではなくプラスチック製のフォークをつけました。
お湯さえあればどこでも食べられるこの商品には、「もっと自由に生きよう」というメッセージが込められていたのです。歴代のCMもこうした商品哲学を伝える内容になっています。
二つのきっかけで大ブレイク
結果的にカップヌードルは、二つのきっかけで売れ始めました。一つは徹底したキャンペーンを実施したことです。流行に敏感な若者が集まる東京・銀座の歩行者天国で、歩きながらでも手軽に楽しめる新しい食品としてキャンペーンを行いました。これが大いに当たり、その様子がニュースで全国に放送されたのです。もう一つは、同時期にタイミングよく日本で普及し始めたコンビニエンスストアの存在です。学生や一人暮らしの男性が、夜食用にとカップヌードルを買うようになりました。
商品の楽しみ方、つまり商品の持つ価値が理解され、売り場に並んで初めて、カップヌードルは超ロングセラーのヒット商品となったのです。
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先生情報 / 大学情報
神戸大学 経営学部 教授 栗木 契 先生
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