サプライ・チェーン・マネジメント(供給連鎖管理)の現状と課題
いかに効率よく商品を生産するかを考える
カメラでも、コピー機でも、ペットボトルのジュースでも、質の高いものをいかに安く、早く、効率よく生産して、消費者に販売するかは、企業にとって重要なテーマです。この生産から消費までの流れを「フォワード・サプライ・チェーン」と呼びます。
もっとも、近年では、企業もただ作って売れればいいというだけではなく、使い終わったものを回収して、それをそのまま使ったり、一度バラバラにして新しく別のものにしたりといった「リユース」や「リサイクル」まで、企業の社会的責任として求められるようになってきました。実際、ほとんどの企業で、製品の再利用は行われています。ちなみに、この回収から再利用までの流れを「リバース・サプライ・チェーン」と呼びます。
リバース・サプライ・チェーンは赤字の場合が多い
このように多くの企業では、生産して消費者に渡り、回収して再び商品にするという循環を作っています。ただし、リバース・サプライ・チェーンを実施して利益を出すのは難しいのが現状です。その原因は、すべて新しい部品じゃなければ嫌だという消費者の意識や、回収に対する意識、回収・運搬の費用の問題などさまざまです。ペットボトルや紙などは、回収して再利用するよりも、新しいものを作った方が安いという現状もあり、うまく循環させるのは難しいところです。
レンズ付きフィルムは数少ない優等生
リバース・サプライ・チェーンがうまく実現した例もあります。身近な例では「写ルンです」などのレンズ付きフィルムです。消費者は購入し、撮り終わったらDPE(写真の現像)店に持っていきます。企業が回収する作業をしなくても、消費者がDPE店に現像を依頼する形で返してくれます。しかも、フィルムメーカーは、DPE店に現像液を運ぶついでに回収すればいいだけですから、手間や費用もわずかです。最近は、デジカメの普及により苦戦しているようですが、このような仕組みをほかの商品でも考えることができれば、本当の意味での循環ができることになります。
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