「臨床心理学」で家族を支援する方法を探る
不登校や引きこもりで家族を孤立させない
不登校や引きこもりの人の場合は、本人が外出することが難しく、心の不調を抱える人に対するカウンセリングを受けられず、本人だけでなく家族もそれまでの人間関係や地域から孤立してしまうことがあります。そこで、その家族も悩みや思いを打ち明けられる場をつくることが必要です。同じ境遇の人たちが集まれば、気持ちをわかってもらえますし、体験談に勇気づけられ、物事を前向きに考えられるようになるかもしれません。家族が変わることで本人にもよい影響が出ることもあります。地域の中にそのようなグループ支援を行う場所や、支援の仕組みの整備を進めることが重要なのです。
不登校や引きこもりを予防するための取り組み
例えば、不登校や引きこもりを予防するために、心理学を学ぶ大学生が小中学校に行き、うまく集団になじめない子どもの話し相手となって、人間関係を築く補助をする取り組みが行われています。大学生たちは前もって研修を受け、何でも話せるお兄さん・お姉さんという立場で接します。ただし、やはり、うまくいかないことも多く、そのような体験を大学に持ち帰り、臨床心理学を専門とする教員から助言を受け、同じボランティア仲間とどうすればうまくいくのかを話し合います。予防に向けた支援を長く続けるためには、大学生にも「次回はうまくいく」という自己効力感を持って臨んでもらうことが大切だからです。
さまざまな専門家とチームで支援する
心理カウンセラーやスクールカウンセラーなど専門の知識を持った担当者を置く学校が増え、また心の相談室や心療内科への抵抗感も、以前より薄まりました。しかし、現在も引きこもりの問題は継続しています。10代の頃から引きこもっている本人が40~50代になり、家族も高齢化して身動きがとれなくなるケースもあります。そうなると心理学だけで支援するには限界があります。心理学に加えて福祉や医療など、さまざまな分野の専門家と連携し、チームを組んで支援していくことが重要な段階に入っているのです。
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帝塚山大学 心理学部 心理学科 教授 中地 展生 先生
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