子どもの不思議な行動に隠された、学びの仕組みとは?
子どもの発達過程に、教育方法のヒントが
乳幼児期から、人間はどのように発達していくのでしょうか。その仕組みを知るためには、子どもの行動を観察することが必要です。さまざまなことを学びながら、行為を発達させていくその過程にこそ、子どもの発達を理解するためのヒントが隠されています。
食事ひとつとっても、幼児には興味深い行動が見られます。例えば、右手に持ったフォークで皿の上のソーセージを刺そうとして、ツルリとすべったとします。すると、左手でソーセージをつまみ、右手のフォークに刺し直して食べたりすることがあります。そのまま左手で口に運んでもよいはずですが、こうした不思議な行動に、発達の仕組みを知るための手がかりがあるのです。
学びの基本は試行錯誤の繰り返し
しかし、そういった手がかりをつきとめるのは簡単なことではありません。子どもの立場になって観察することで初めて、子どもたちが自分なりの方法で行為を覚えていく過程が理解できるようになります。
「できない」状態から「できる」状態になるまでの間、子どもは試行錯誤を繰り返しつつ最適なやり方を探し求めます。そして、自分の体で感覚的にそのやり方を覚えていく過程が、学びの基本となるのです。
子ども自身でやり方を探すことが発達の基礎にありますが、言葉を身につけるには、さらに、周囲の大人が積極的にかかわり、その発達をうながすことが欠かせません。例えば、転んだら「“痛い痛い”したね」などと声をかけ、子どものかわりに感じたことを言語化してあげることも、子ども自身が言葉を話すことにつながる重要な経験となります。
子どもの観察に必要な姿勢とは
このように、子どもは自分なりのやり方で学びつつ、周囲とのやりとりの影響を受けながら知的能力を伸ばしていきます。子どもを理解するためには、まず先入観を捨て、大人の理屈ではなく子どもの理屈でその行動を観察することが大切です。そうした謙虚な姿勢で子どもを見つめることで、学びの仕組みだけでなく、心の動きもわかるようになるのです。
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先生情報 / 大学情報
札幌学院大学 人文学部 こども発達学科 准教授 鈴木 健太郎 先生
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