ファッションデザインを学ぶとは?
文理複合分野のファッションデザイン
日本のファッションデザイン教育は、家政学が出発点となって発展したため、服飾技術を基礎として服作りの方法から学ぶカリキュラムが多く見られます。一方でヨーロッパでは、服飾技術の習得は職人教育としてあったことから、ファッションデザイン教育では視覚デザインを礎に、それを具体的に造形化するカリキュラムが多く見られます。そこから、記号学や社会学、芸術学はもとより、数学、化学、物理学など、デザインを考えて実際に形にするまでに関わる必要知識は文理の垣根を跨いで応用し実用する分野であることがわかります。
デザインの具現化
ファッションデザインは、外部や頭の中のイメージからアイデアを考え、最終的に人が着用できる服として具現化する作業です。同じデザインでも、異なる素材を使用すると、色やツヤだけでなく、厚みやハリによってシルエットが変わり、伸縮性などの機能によって着心地も異なります。素材加工や設計などの物理的プロセスが、服作りにおいて非常に重要です。職人として服作りに携わるパターンメーカーなどは、経験を積むことで素材の知識を身につけています。一方、ファッションデザインを芸術工学から考える際には、文理を超えて他領域の知識を用い具体的な手段を考えます。日本は古くから繊維産業が盛んであり、新素材の開発も活発です。これまでに服に用いたことがないような新しい素材を活用するには、学問知識の応用と実用が欠かせません。
共感覚表現を用いる
一方で素材とデザインの結びつきにより生まれるムード分析には、「視覚情報を言語化する能力」も必要です。デザインで表現されたムードを生み出す素材選定は、それを言葉で表現しなければ、素材の選択にはつながらないのです。共感覚的表現は、ムードから素材への架け橋となる手法です。例えば「暖かい声」という表現は、声そのものが実際に暖かいわけではありませんが、声の印象を触覚的に表します。このように、五感に関わる言葉からムードを素材へと繋げてデザインを具現化するのです。
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先生情報 / 大学情報
神戸芸術工科大学 芸術工学部 生産・工芸デザイン学科 准教授 金沢 香恵 先生
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ファッションデザイン、衣服造形、染織先生が目指すSDGs
先生への質問
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