スポーツ選手を支える「理学療法」
故障した選手をベストコンディションに
理学療法士にはいろいろな役割があり、ケガなどで故障をした選手が再びプレーできるようサポートするのも仕事のひとつです。選手はケガが治ったとしても、休んだ分だけ体力が低下し、動き方も忘れています。そういう状態ですぐに練習を始めると、体のどこかに無理がかかって別のケガをしたり、同じケガをするおそれがあります。つまり、ケガが治ることとプレーができることの間には、開きがあるのです。理学療法士は、選手が100%の力でプレーできるよう万全のコンディションに整え、現場に復帰させるまでが仕事と言えます。
スポーツの「動作」に注目
サポートする上で、「動作」に注目していくことも大切です。人の動きと、関節や筋肉などの関連性には決まったパターンがあります。また、投げる・走る・飛ぶといったスポーツ動作には、本人が意識していない筋力・体の硬さなどが影響しています。例えば、ヒザのじん帯損傷などといった故障は、着地した時にヒザの向きが足先の向きより内側に入るのが大きな原因です。この動きは足首や股関節にも要因があり、そこの筋肉の硬さや弱さが考えられます。この場合、理学療法士はヒザだけを見るのではなく、実際にほかの関節を触ったりスポーツ動作を見て、ケガの要因を探ります。そしてその選手ならではの問題点を見つけ、「よい動き」を身につけてもらうためのストレッチやトレーニング方法などをアドバイス・指導していきます。
故障を防ぎ、能力も高める
理学療法は運動によるケガを治すのはもちろん、スポーツのパフォーマンスを高めることにもつながります。実際に股関節のストレッチなどをすると、プレーの動きもがらりと変わることがあるのです。最近では「超音波」を使い、筋肉や関節の状態を見る技術も広がってきています。今までの見る・触るといった主観的なものを、客観的に見ていくという技術は、理学療法の今後のテーマになってくるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
京都橘大学 健康科学部 理学療法学科 教授 横山 茂樹 先生
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