ファッションは外見にも、心の内面にも影響を及ぼす
聞き上手になるためには
「人を外見で判断してはいけない」と言われます。しかし社会心理学では、外見は人の印象に大きく関わってくることがわかっています。一般的には顔が外見の中心となりますが、そのほかにも表情やファッションなどがあります。
顔は変えられないので、コントロールは不可能ですが、変えられるものもあります。例えば動作です。人の話を聞く場合、うなずくかどうかで相手の反応は違ってきます。実験では、相手がうなずくと、話し手は元気でよくしゃべるという結果が出ています。人から話を聞く場合、うなずくことで相手の話を引き出しやすくなり「聞き上手」になることができるのです。
最初から服装で決めつけないで
ファッションも重要です。スーツなどのきちんとした服装とジーンズなどのラフな格好では、相手に対する印象が違います。人を説得する場合、スーツの場合では説得に応じる確率が高く、拒否されるときでも理由をはっきりと話してくれます。一方、ラフな服装では、そもそも話をまともには聞いてくれないという結果が出ています。
またスーツを着ている人とジーンズの人が道で倒れているとき、「大丈夫ですか?」と声を掛けられるのは、スーツの人は倒れた直後ですが、ジーンズの人の場合、しばらくは見て見ぬふりをされてしまって時間がかかるという結果が出ています。やはり「見た目」は大事なのです。このような影響を知ったうえで、どんな服装でも最初から決めつけることなく、コミュニケーションをとることで多様な付き合いをすることができます。
ファッションは自分の気持ちも変える
逆にファッションは自分の内面にも影響を与えます。自分の好きな服装をしていると充実した楽しい気持ちになりますが、逆の場合は、気分が落ち込んだりイライラしたりします。つまり服装は人間の心を変えるのに役立つのです。ファッションによって自分の気持ちを整えて人と接することは、対人関係をスムーズに運ぶ助けになります。
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京都橘大学 総合心理学部 総合心理学科 教授 前田 洋光 先生
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