人にとって運動適応とは?

人にとって運動適応とは?

運動トレーニングの効果は若者だけのものか?

年齢に関係なく適切な運動は、人の体に変化をもたらすことができます。例えば、筋力トレーニングは若者が行う運動というイメージが強いかもしれませんが、年齢を重ねた方でも筋肉を強化し、体力や生活の質を向上させることができます。また、運動は体重管理や骨密度の維持、心理的なストレスの軽減にも効果的です。運動を通じて筋肉や心肺など体の機能に刺激を与え、体の各機能に変化が生じることを「運動適応」と言います。運動適応は、若いアスリートでも、身体機能の低下した高齢者でも、個々の体の状態に応じて適切な運動を行うことで実現します。つまり、年齢に関わらず、適切な運動を取り入れ継続的に取り組むことが重要で、それにより健康や体力の維持増進が可能です。

病院やスポーツ施設などの現場で生かされる

運動適応という人体のメカニズムがあるからこそ、身体機能の改善・向上に適した体の動かし方や刺激の与え方に関する知識や技術が蓄積されてきました。そのような知識や技術を明らかにするためには、特定の運動が若年者に与える影響を調査し、それが高齢者にも同様に適用できるかどうか、対象範囲を広げて調査していきます。そのような研究をもとに得られた知見を病院や介護施設、スポーツ施設などの現場で用い、実際に高齢者向けのリハビリメニューやスポーツ選手向けのトレーニングメニューの作成に生かしているのです。

病気や怪我の改善や予防にも役立てられる

運動適応の考え方は、最近の日本社会で関心の高まっている病気の予防・改善方法の研究にも役立てることができます。例えば、生活習慣病のひとつである動脈硬化は、ジョギングなどの陸上運動や水中運動によって改善されることがわかっています。
今後このような研究が進み、より多くの方に運動の重要性が認識されるようになれば、高齢化が進む日本で、年齢に関係なく健康で自立した生活を送ることができる社会の実現に貢献できるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

帝京平成大学 健康医療スポーツ学部 柔道整復学科 教授 野上 順子 先生

帝京平成大学 健康医療スポーツ学部 柔道整復学科 教授 野上 順子 先生

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柔道整復学、運動生理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

柔道整復師というと、接骨院や整形外科で働く姿を思い浮かべるかもしれません。確かに怪我やリハビリテーションに関わる仕事が多いですが、柔道整復学を学んで得た知識や技術は、あらゆる人の生活の質や健康の維持増進に生かすことができます。その可能性の広さに興味が湧いたなら、健康に関係ありそうなこと実行し、体の変化を観察しましょう。どのような行動が自分自身の体重や体力、体調に影響するのか考察してみましょう。自分の体の変化は微々たるものでもその変化を捉え、考察する視点はきっと大学での学びに役立つはずです。

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