アフリカの乾燥地域に太陽光発電で「電気」と「水」を生み出す
電気や水がない厳しい環境
アフリカの都市から離れた遠隔地域では、電気や水道といった生活インフラが整備されていない場所がたくさんあります。乾燥地帯では水資源が乏しく、離れた井戸にまで行って水を運搬する必要があります。水のくみ上げは、化石燃料を使ってエンジンポンプで行われていますが、費用がかかります。地下水をくみ上げすぎると、今度は水位が低下して水に含まれる塩分が地表に噴出して、栽培土壌に影響を与えます。このような厳しい環境ですが、電気を通すといったインフラの充実は、莫大なコストがかかるので実現が難しい状況です。
太陽光を利用した分散型エネルギー供給システム
このような地域のために、太陽光エネルギーを利用して環境保全や食料生産に必要な電気エネルギーを提供するシステムが開発・研究されています。太陽光といってもメガソーラーという大規模なものではなく、システムを設置した場所だけで完結する分散型のエネルギーシステムです。
作られた電気を利用して、ポンプで地下水をくみ上げて、さらにポンプを2台つなげて畑に送水するというシステムを基本モデルにしています。生活や植物の栽培に必要な水の量に応じてポンプを制御して、効率的な送水が可能です。また、複数のポンプを使えば、遠距離の送水にも対応できます。
持続的に使え、地球環境の保全にも貢献
このシステムは設置のための初期投資は必要ですが、燃料コストはかかりません。エンジンポンプは砂塵などで破損しやすいという問題がありますが、電気を利用するので、その問題もありません。操作も、自動化や遠隔操作でほとんど手間がかかりません。ただ、最初の教育サポートや導入のための現地調査は行うものの、維持管理は現地の人にやってもらうので、そのための受け入れ態勢が必要になります。
化石燃料を節約するエコシステムなので、地球環境の保全にも貢献します。継続的に使えば、食料生産の増大にもつながり、生活レベルの向上につながるシステムなのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
鳥取大学 農学部 生命環境農学科 国際乾燥地農学コース 准教授 田川 公太朗 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
資源・エネルギー工学、地域環境学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?