ロボットと暮らす

ロボットと暮らす

緊急時の心強い味方

現在、大学などで研究されているレスキューロボットのあり方には2つの方向性があります。1つは地震などの災害発生前にロボットで何ができるか、ということです。例えば常に部屋の中にロボットがいて、普段はラジオやインターフォンとして利用し、いざ地震の際には速報を知らせてくれたり、人間の居場所を知らせてくれる、そんな存在のロボットです。
携帯電話などのGPS(全地球測位システム)にも近い機能はありますが、携帯電話は自力では動けません。外まで行って助けを求める、レスキュー隊に見つけてもらうといった機能が重要なのです。

ロボットがSOSを発信!

この研究では外国人や高齢者、障がい者などの、いわゆる災害時要援護者の利用も想定されています。例えば地震の少ない国から来た外国人や素早く動けない高齢者にどう地震を知らせるか、あるいはパニックに陥らないようどのように誘導するか、ということです。現状では言葉だけでなく、音や光、色、ジェスチャーを用いて、「机の下に隠れましょう」「頭を保護してください」「すぐに逃げてください」などの具体的な行動支援を行うための研究が進められています。ただし色のイメージや動作の意味は国によっても異なるため、すべての人が認知できる手法を考える必要があります。

社会全体での活用を

もう1つの方向性は、災害発生後に現場で調査を行うレスキューロボットです。現在用いているものには戦車型やヘビ型などがありますが、操作にはテクニックが求められるため、誰にでもコントロールできるわけではない点に不便が生じています。また消防署に数多く設置するのも不可能です。
1つの解決策としてロボットを開発した大学や企業が所有し、消防士に練習する機会を与える方法や、学生消防団が操作をするなどの方法が考えられますが、クリアしなければいけない問題はたくさんあります。
一方、人が行けない場所での検査や調査などへの応用も検討されています。レスキューロボットが、掃除ロボットのように身近な存在になる日が待たれます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

愛知工業大学 工学部 機械学科 教授 奥川 雅之 先生

愛知工業大学 工学部 機械学科 教授 奥川 雅之 先生

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制御工学、ロボティクス、振動工学

メッセージ

災害が起きたときに人を捜したり、現場を調査するレスキューロボットを中心に学生たちと研究を行っています。うまくいかないときも多く、中には「もうダメだ」とか「やってもムダだ」と考える学生も見受けられますが、大切なのは「やってみよう」「自分がどこまでできるか試してみよう」という姿勢です。あなたも、まずは高校生活の中で、積極性を試す機会を作りましょう。社会に出れば、トラブルにもたくさん遭います。それを乗り越えるのはチャレンジ精神しかありません。強い気概を持って生きていってほしいと思います。

愛知工業大学に関心を持ったあなたは

工学を基盤とした実学教育を展開してきた愛知工業大学。
「工学部」・「経営学部」・「情報科学部」の3学部体制。ものづくりを中心とした『工科系総合大学』。
自然環境と交通の便に恵まれた名古屋市の自由ヶ丘エリアに「自由ヶ丘キャンパス」では経営学部の経営情報システム専攻の学生が学んでいます。また、八草キャンパスにはメディアラボなど最新鋭の設備が揃った1号館を建設。更に充実した環境で、実社会で求められる高度な専門性を備えた人材を育成します。