橋や道路のお医者さん

橋や道路のお医者さん

形ある物はいつか壊れる

普段何気なく通っている橋や道路にも当然寿命があります。実は、石、鉄骨構造、コンクリートなどでつくっている橋は、どのような材料を用いたとしても寿命は30~50年程度で設計して、建造しています。また寿命が来る前にも、台風、地震といった自然災害や、大事故などの人災で大きな損傷を受け、場合によっては崩壊してしまうこともあります。
では、何も対策をせずに寿命を迎えた橋はどのようになるでしょうか? 残念ながら、寿命が来れば壊れてしまいます。寿命が来ると、まずどこかが壊れ、その壊れた箇所に作用していた力が別の場所に移動し、徐々にいろいろな箇所が壊れていきます。最終的には全体を支えきれなくなり崩壊してしまうでしょう。その崩壊が突然起きないように、橋や道路のお医者さんがいて、定期的に調査し保守を行い、安全性を保っているのです。

ライフサイクルコスト

ライフサイクルコストとは、構造物などの費用を、計画~建造~使用~廃棄までにかかる費用の合計で考えることです。どんな建造物でも、無制限にお金をかけて保守するわけにはいきません。例えば、10年たって10%強度が落ちたときに、少しお金をかけて10%強度を戻してやります。すると次の10年もまた同様に10%の強度低下になるか?というと15%落ちているかもしれません。この修理をするタイミングと、かかる費用を比べて適切な方法を採用することになります。また、保守タイミングの間隔を5年・10年と広めにとるより、毎年行うように細かく保守を行った方が寿命も延びライフサイクルコストは安くすむといったことが起きます。その一方、急激に自動車の交通量が増加してしまった場合には、たとえ寿命がまだまだ残っていても、つくり替えてしまうこともあります。
費用対効果、ライフサイクルコストを考え、一番安く、用を成せる物を作っていくということになります。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

愛知工業大学 工学部 土木工学科 教授 鈴木 森晶 先生

愛知工業大学 工学部 土木工学科 教授 鈴木 森晶 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

土木工学

メッセージ

人間を治すお医者さんの活躍が注目を浴びていますが、お医者さんを必要としているのは生き物だけではありません。形ある物はいずれ壊れてしまいます。あなたが何気なく普段使っている橋や道路といった社会基盤も、見えないところでお医者さんが診断し適切な処方をし、補修を行い、あなたの生活の安全を支えているのです。ぜひ、土木分野に関心を持って、公共構造物をなおすお医者さんをめざしてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

愛知工業大学に関心を持ったあなたは

工学を基盤とした実学教育を展開してきた愛知工業大学。
「工学部」・「経営学部」・「情報科学部」の3学部体制。ものづくりを中心とした『工科系総合大学』。
自然環境と交通の便に恵まれた名古屋市の自由ヶ丘エリアに「自由ヶ丘キャンパス」では経営学部の経営情報システム専攻の学生が学んでいます。また、八草キャンパスにはメディアラボなど最新鋭の設備が揃った1号館を建設。更に充実した環境で、実社会で求められる高度な専門性を備えた人材を育成します。