海外の視点からとらえた日本の社会問題

海外の視点からとらえた日本の社会問題

高齢化が進む日本

日本の高齢化率は世界の中でもっとも進んでいるため、この問題に対して日本政府がどのような政策を示し、結果としてどうなっているかに各国から注目が集まっています。特に、経済レベルや社会状況が比較的似ているドイツのような国にとっては、数年後の自国の状態を示す例として参考になるため、日本に対する研究が進んでいます。

介護現場とロボットの例

海外から見ると、日本はテクノロジーが発展していて、高齢化などの問題もロボットが解決しているように感じられます。しかし、実際の介護現場を調査すると、ロボットが積極的に使われているところは少ないのが現状です。高齢者の世代や介護者は機械に対する信頼がまだ薄いために導入をためらう問題が根底にあることに加え、ロボットを導入しても介護者が簡単に動かせないという課題もあります。日本のエンジニアは技術力が非常に高く、精巧なものづくりが得意です。しかし、現場の声を考慮せず、ニーズを把握しないうちに開発を行う傾向があります。そのため、膨大な時間と費用を掛けて作ったものの、最終的には利用されていない技術がかなり見受けられます。高い技術を持ちながら、日常の問題に合わないという矛盾が存在しているのです。

技術開発の例

エンジニアに聞き取り調査を行うと、医療・福祉・介護の現場との交流がうまくできていないことがわかります。このような問題は日本だけではありませんが、欧米での取り組みと比べて改善が遅いといえるでしょう。例えば、医療機器開発のための実践的な取り組みとして、アメリカではバイオデザイン理論が開発されました。臨床現場に近い医師や看護師など専門家と交流することで的確にニーズを捉え、世の中に本当に必要とされる支援や医療機器を開発することを目的としています。日本も独自の医療制度に合わせながら、このような理論を取り入れる必要があります。日本が改善点を見いだせれば、同様に高齢化した社会に取り組む国々の助けになるでしょう。

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先生情報 / 大学情報

帝京大学 外国語学部 国際日本学科 准教授 ブルクシュ ズザンネ 先生

帝京大学 外国語学部 国際日本学科 准教授 ブルクシュ ズザンネ 先生

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外国語学、国際比較、日本学

先生が目指すSDGs

メッセージ

日本はこれからも先進国として世界の国々と協力していく国際的役割があります。超高齢社会のほかにも環境問題、平和や民主主義など、世界が抱えるさまざまな問題を解決に導く責任があると考えられます。国際日本学科では語学能力を身につけながら、グローバルな視点から日本文化、国際関係、政治、経済や共生社会について学びます。自分の興味のあるテーマを研究することで専門性が身につき、将来の仕事につなげられます。最初から自分の道を決める必要はないので、国際日本学科で学びながら、自分の得意な分野を探していきましょう。

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医療系・文系・理系と幅広い分野の10学部32学科を擁する総合大学です。文系学部を中心とした八王子キャンパスでは、約15,000人の学生が学んでいます。東京多摩丘陵の自然豊かな景観に位置し、キャンパスリニューアルにより新校舎棟「SORATIO SQUARE(ソラティオスクエア)」「帝京大学総合博物館」をはじめとした、施設・設備が整備され、教育指針である「実学」「国際性」「開放性」を柱に、自ら未来を切り拓く人材を育成しています。