光で充電できるリチウムイオン電池が、新しい未来をつくる!
薄膜で反応を可視化する
携帯電話やノートパソコンなどのバッテリーに使用されているリチウムイオン電池は、化学反応を利用しています。正極と負極の間でリチウムイオンが行き来することで充電と放電を行いますが、こうした反応を可視化できる薄膜(はくまく)のリチウムイオン電池が開発されました。厚さ1マイクロメートル(1000分の1ミリメートル)以下のものを薄膜と呼びますが、ここで使うのは100ナノメートル、髪の毛の1000分の1という極薄の膜です。向こう側が透けて見えるほど薄く、リチウムイオン電池の中でどんな反応が起きているのか、見ることが可能です。
バッテリーを光で充電?
携帯電話はバッテリーが少なくなると電源につないで充電します。リチウムイオン電池を充電するためには電流を流すことが必要だからです。一方、太陽電池は太陽光を電力に変えて発電することができます。この太陽電池の特徴を融合させることで、光さえあれば充電できるリチウムイオン電池ができるのではないかと、その可能性に注目が集まっています。
ここで必要となるのが、向こう側が透けて見え、光を透過できる薄膜です。実用化にはまだ問題点もありますが、そこに置いておくだけで勝手に充電される、電源を必要としない携帯電話が登場する日も夢ではありません。またこれが可能となれば、窓ガラスに薄膜リチウムイオン電池を取り付けてセンサーにつなぎ、侵入防止装置の電源にするといった使い方もできます。高齢化が進むこれからの社会においての活用が期待されています。
課題は電池の寿命!
携帯電話のバッテリーのもちが次第に悪くなっていくことからもわかるように、高性能なリチウムイオン電池でも寿命は3~4年と短いことが課題です。材料に電解液が入っているからですが、電解液を固体にすることができれば、寿命が延びることが期待できます。薄膜のリチウムイオン電池は生活のいろいろな場面で活用できるでしょう。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
工学院大学 先進工学部 応用物理学科 准教授 永井 裕己 先生
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