人に「伝える力」「伝わる表現」とは? ~巨大ガンダムの効果~
表現の豊かさが面白さにつながる
世の中には、話はさほど上手くないけれど面白い、という人がいます。表現が伝わるか伝わらないかには、これに似た感覚があります。形式的に上手いか下手かではなく、表現が豊かか貧しいかの差が、伝わり方に関係しているのです。気になるというのでもいいし、面白いというのでもいい、とにかくその表現を見ることによって人が何かを感じることができたとしたら、その表現は「豊か」だと言えます。感情は感覚的な所で響く場合も多いものです。五感に響く何かを大切にしていくことも「伝える力」を生み出す源となるのです。
気持ちを立ち止まらせる力
デザインとは、方向性を指し示すものです。見通しをよくすることとも言えるでしょう。人への伝わり方は千差万別です。その点で言えば、表現はしゃくし定規で伝えられるものではありません。人間は、情報や知識が増えてくると、聞き流したり、見過ごしたりしがちになります。これを一つ一つ整理して注意を払ってもらえる、気づきを誘発する形にするのが「デザインする」ということなのです。一枚の絵でも、見た人によって引き起こされる感覚は違います。広告の世界では、人に何かを感じさせるということが大切になってきます。スルーしたのではない心の動きがそこに生まれているからです。何かを感じたからこそ人はその絵を記憶するのです。
突然現れた巨大ガンダム
東京・お台場にガンダムの等身大スケールの立像が立ちました。東京の街並みを背景に立つ18mのガンダムは人々に、なぜここに?なんて大きな!なんだろう、これは? という強烈な印象を与えました。確実に人々に話題を提供し、コミュニケーションを活性化し、何より想像力を喚起しました。このプロジェクトは企業や自治体のさまざまな意図、戦略の元に実現しましたが、立像はそれが現実に存在するという事実だけで、充分すぎる広告塔の役割を果たしました。等身大ガンダムプロジェクトは、豊かな表現力の成功例だと言えるでしょう。
参考資料
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