どうしたらよい飛行機が造れるんだろう?
飛行機で大切なのは総合力
飛行機を造るときに大切なのは、総合力です。形状や強度、重量、内部の機器の性能などすべてがバランスよく調ってこそ、実用的で信頼性の高い飛行機が設計できます。
「飛行力学」の分野では、空気の流れや機器の制御、コンピュータシミュレーションなど、あらゆる知識・技術を総動員して飛行機の総合力を高める研究が行われています。例えば、小型の無人飛行機の場合、限られた条件下で目的を達成するために、最適な機体や翼の形状をどうするか、小さなコンピュータでいかに効率的に制御するかなど、さまざまな方向から考えなければなりません。
シミュレーションで最適な答えを導く
近年、「無人飛行機(UAV)」の開発が世界中で進んでいて、人が行けないような極地の観測などで活躍しています。無人飛行機にも、もちろん飛行力学の知識や技術が役立てられており、いま「自律化」の研究が注目されています。自律化とはパイロットが乗らずに自動操縦で空を飛ぶことで、最適な飛行経路をいかに早くみつけるか、そして障害物をどうよけるかが重要なポイントです。これにはコンピュータプログラムを工夫して、シミュレーションで最適な答えを求めるのですが、生物の進化をまねる「進化アルゴリズム(evolutionary algorithm)」という手法が活用されています。
欠かせない実験
コンピュータシミュレーションによって、このように飛行機の可能性は大きく広がっています。しかし、シミュレーションだけでよい飛行機ができるわけではありません。風洞実験や飛行実験が欠かせないのです。シミュレーションですべてを模擬することはできません。実際に空に飛ばしてみると、思いもよらない失敗や不具合がみつかることも少なくありません。日本には優れた技術力がありますが、そこには先人たちが実験を通して得たものが詰まっています。今後も日本の技術が世界で輝くために、繰り返し実験を行うことは欠かせない要素と言えるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。