赤外線技術で、人間の体内を調べる
安全な光で診断
手のひらを懐中電灯や太陽に透かしてみると赤く見えます。これは血液が見えているのではなく、波長の長い赤色の光が皮膚を透過して見えているのです。光は波長の長さで分類され、波長の短い光はレントゲンなどに使われています。しかし、レントゲンには被爆の問題などがあるので、毎日レントゲン写真を撮るわけにはいきません。赤外線のような波長の長い光は、人の身体には安全な光です。予防や早期診断には、レントゲン写真に代わる、赤外線を使って皮膚の内部を見る技術が重要になってきています。OCT(Optical coherence tomograph)と言われる、赤外線を使った断層像を得る技術です。
すでに眼科では広く普及しています。これまで目の検査は、水晶体を通して網膜の表面を観察する眼底カメラで行ってきました。しかし、この方法では、網膜の血管の状態はわかりますが、表面しか見ることができないので、網膜はく離など内側の状況は診断が困難でした。OCTを使うことで網膜の断面像が見られ、剥がれそうになっている網膜を見ることができるようになりました。
指をOCTで撮ると皮膚の内部の断層像が見られます。汗腺にどれくらい汗が出てきているのかによって、代謝の状態などを調べることができます。この技術には化粧品メーカーが関心を示していて、現在でもまだわかっていないシワができる仕組みを解明しようとしています。
赤外線を応用
光トポグラフィーは、赤外線を使って脳の血流を測定する装置です。光ファイバーから光を出し、脳の表面を通過した光を別の光ファイバーから受け、その強さの変化を測ります。この測定によりきれいな絵や音楽などに接した時に右脳が活発化していることは、血流の状態を見ることでわかります。ところが、テレビゲームをしている時は脳が働いていないことがわかっています。そこで脳のどの部分の血流がいいのかを分析し、脳への影響を考慮して作られたのが「脳トレ」のゲームです。
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