超伝導の地球電力ネットワークが、世界を救う!

超伝導の地球電力ネットワークが、世界を救う!

人口増加で不足する世界のエネルギー

世界の人口は2050年頃までには90億人に到達するだろうと言われています。この人口増加によって問題となるのが、人々の暮らしを支えるエネルギーです。2050年頃には、現在のおよそ2.6倍もの電力が必要になると予測されています。この増大するエネルギーをどうやって賄うのか? エネルギー問題は人類共通の重要課題です。石油などの化石燃料はいずれ枯渇してしまいますし、地球温暖化の原因であるCO₂を排出します。また原子力発電も安全性や放射性廃棄物の処理などの問題を抱えています。

自然エネルギーと超伝導に注目

そうした中で注目されているのが、太陽光や風力などの再生可能な自然エネルギーです。しかし、夜間は発電できない、風が止んだら発電も止まるなど、自然エネルギーは供給が不安定であることが欠点です。電気は貯蔵することができないので、不足する電気は火力や原子力などほかの電源で補うか、あるいは電力に余裕がある地域から送電してもらうしかありませんが、送電中に電気抵抗による送電損失があるので長距離の送電はできません。そこで考えられているのが、-200℃前後に冷却すると電気抵抗がゼロになる超伝導を使った送電システムです。

世界を救うGENESIS計画

超伝導ケーブルを世界中に張り巡らせて、「地球電力ネットワーク」を構築しようという計画があります。その一つが「GENESIS計画」と呼ばれるもので、この計画が実現すれば、例えばアフリカのサハラ砂漠で太陽光発電をして日本で使う、また日本で発電してアメリカに送電することも可能になります。つまり、発電と消費を地球規模で平準化することで、自然エネルギーの効率的な活用とエネルギー問題の解決につながるのです。
日本では2.5kmの実験線を使ったフィールド研究の段階にあり、交流を直流に変換する方式や、よりコンパクトで大容量の電気を安定して送れるケーブルの開発などが進められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

九州工業大学 情報工学部 物理情報工学科 教授 小田部 荘司 先生

九州工業大学 情報工学部 物理情報工学科 教授 小田部 荘司 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

電子情報工学、電気工学、材料工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私の研究テーマは超伝導です。超伝導では電気抵抗がゼロになります。ですから、超伝導ケーブルを作って電気を送ると、損失なくどこまでも送れます。私の夢は、この超伝導ケーブルを使って世界をつなぐことです。そうすると、ヨーロッパで発電して日本で使うとか、逆に日本で発電してヨーロッパで使うことが可能になります。太陽光や風力などの再生可能な自然エネルギーを効率的に使うことで、エネルギー問題を解決することができます。あなたも、夢に向かって頑張ってください。

先生への質問

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「情報工学」は、高度情報化社会の進展の中で、ますます必須知識・技術となっています。
九州工業大学情報工学部は1986年に創設された日本初、現在も国立大学で唯一の情報工学部です。知能情報工学科、情報・通信工学科、知的システム工学科、物理情報工学科、生命化学情報工学科の5学科があり、それぞれの分野において、高度な専門技術を身につけた人材を養成します。これまでに1万人を超える情報通信技術者を生みだし、様々な分野で日本の情報通信革命を支えています。