ディズニーランドには観光業のヒントが詰まっている
敷地は絶妙な広さ、立地は完璧
ディズニーランドは巧みな経営手腕だけでなく、地理学的にもよく考えられています。まず広さですが、来場者数を考慮すればもっと大きくすることもできたはずですが、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド社は取得した土地の半分しか使いませんでした。しかしあの面積は1日歩くと心地よい疲れを覚え、回りきることが難しくリピーターを生む、絶妙な広さなのです。立地的にも、電車や車、飛行機などあらゆる交通手段のアクセスが考慮されています。また、何よりも埋め立て地にありますから、周りにビルや学校のような高い建物がありません。そのため、非日常的な空間を作りやすい場所なのです。
生活体験をアトラクションに
ディズニーランドの成功を受け、全国に同じようなテーマパークが乱立しました。しかし、形だけ真似ても、その多くは失敗に終わりました。一方で、地域に適したスタイルがあることに目をつけ、地域の特色を生かした観光業として、大分の湯布院などが先陣を切って始めたのがグリーンツーリズムです。農業や漁業の体験から始まったこれらの試みは、古民家を貸し出す京都の御山町や修験者の体験ができる山形の月山(がっさん)など、独自性が見られるようになりました。生活体験をアトラクションにし、観光客を呼んでいるのです。
課題はリピーターの獲得
グリーンツーリズムの目的のひとつに、過疎地域の活性化があります。さらに事業としての成果を求めるならば、ディズニーランドのリピーター獲得法は参考になるでしょう。グリーンツーリズムが軌道に乗った自治体の中には既にリピーターの重要性に気づき、取り組みを始めています。例えば群馬県の川場村は以前から小学生向けの移動教室を開いていましたが、近年になって彼らが友だちや家族連れで再び村に訪れています。一度訪れて終わりではなく、どうやってリピーターや地域のサポーターになってもらうか、その点が今後のグリーンツーリズムの課題です。
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先生情報 / 大学情報
茨城大学 人文社会科学部 現代社会学科 准教授 小原 規宏 先生
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