ホスピタリティが企業体質を変える
従来のホテルはサービス型
日本のホテルは、1964年の東京オリンピックや1970年の大阪万博などのイベント時に外国人の宿泊施設として作られたのが始まりです。海外ではもともとホテルはホスピスという病院から派生して、殉教者を手厚くもてなして、送り出す施設だったのです。日本は海外とはホテルの成り立ちが違うのです。
日本では大手企業がホテルを作ったので、企業経営は従来の日本型でした。つまりサービス型で、決定はすべて経営者が行い、トップダウンで従業員はそれに従い、取引先は下請けとなる会社だけを選ぶというものでした。
ホスピタリティが注目されている
しかし、日本ではバブルがはじけて外資系のホテルが進出し、従来のサービス型ではなくホスピタリティ型を中心とした経営が注目され始めました。
ホスピタリティ型では、経営者は従業員に対して一方的に命令するのではなく、パートナーとして考えコミュニケーションをとりながら大切にするので、従業員のモチベーションが高まります。そして従業員もゲストをパートナーとして大切にした結果として、ゲストはリピーターとして度々利用し、会社に利益をもたらすという好循環を生みます。取引先もただ安いだけではなく、本当にゲストの役に立つものであれば少々高くても仕入れることによって結果的に顧客の満足度が上がります。もちろん取引先もパートナーであるということが基本です。
すべての業種に広がっている
ホスピタリティ型はホテル業界だけではありません。2011年の東日本大震災の時、東京ディズニーランドでは、ゲストの頭部を守るために売り物のぬいぐるみを無料で配ったり、子どもたちにお菓子も手渡したりしました。しかもキャスト(スタッフ)は不安感を与えないために、これらを笑顔で行ったのです。これはホスピタリティをよく理解している東京ディズニーランドならではの対応でした。
ホスピタリティは今、あらゆる業種に広がり始め、これからの日本には必要不可欠な経営方法となりつつあります。
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先生情報 / 大学情報
大阪学院大学 経営学部 ホスピタリティ経営学科 教授 森重 喜三雄 先生
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