日本基準の「メッシュ統計」を世界で活用し、社会の課題解決へ
細かく把握できるメッシュ統計
統計データとしてあなたがよく知っている、都道府県毎や市町村毎の面積や人口に加えて、我が国では、1970年代から使用されている「メッシュ統計」があります。メッシュ統計は、日本全体を隙間なく網の目のように区分し、区分ごとに番号をつけ、統計データを表す手法です。目的に合わせて解析したり、色分けしてマップ上に見える化することができます。
細かな集計ができるので、どこに何人住んでいるか、子どもがいるかといったこともわかります。太陽光エネルギーの見積もりや公共インフラの把握の他、コンビニなどの出店計画といったビジネスにも活用されています。
社会活動を最適化する
メッシュ統計は、多様なデータと併用することで人の活動を把握するために利用できます。例えば、宇宙から撮影された夜間の地球には、夜景として輝く人工の光が写っています。それは人の活動を示したものです。夜間の光と宿泊者数を表すメッシュ統計とを連結解析することで、光が強いところに滞在した都会志向の旅行者と、光のないところに滞在した自然志向の旅行者の数や傾向がマップ上で明らかになります。また、企業活動を数値化、最適化することでSDGsに貢献することができます。
データサイエンスによって現状を明らかにし、社会活動を理想の方向へと改善していくことができるのです。
世界の現状を数値化して課題解決に
日本基準のメッシュ統計を全世界に拡張することで世界規模でのメッシュ統計の作成も可能です。これが国際標準化されれば、世界中のどの場所でもメッシュ統計による最適化を図れるようになるでしょう。世界メッシュ統計を作成・利活用するためのプログラムやアプリも開発され、メッシュ統計利活用の研究が進められています。
日本や世界が抱える多くの問題は、多くの人が課題を理解することができるようになることで、その解決の糸口が見えてくるはずです。世界メッシュ統計が実用化されることで、環境や経済社会などあらゆる課題解決のツールとなるでしょう。
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横浜市立大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科 教授 佐藤 彰洋 先生
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