「スヌーピー」でアメリカを知る
アメリカ文化を象徴する「スヌーピー」
「スヌーピー」を知っていますか? アメリカの漫画家シュルツの4コマ漫画『ピーナッツ』の主人公チャーリー・ブラウン少年の飼い犬です。『ピーナッツ』は、主人公チャーリーやスヌーピーをはじめ、その愉快な仲間たちとの日常をおもしろおかしく、時にシュールに描いた作品です。1950年から2000年まで半世紀にわたって連載が続いた漫画『ピーナッツ』には、アメリカという国の文化や人々の生活、思想が色濃く反映されています。
英文の「行間を読む」
英文で書かれたセリフの「行間を読む」ことで、短いセンテンスの中に含まれる深い人生観に基づく考察や、社会を写し取った描写など、単なる翻訳では得られないスヌーピーのおもしろさを感じることができます。そういう視点でスヌーピーを読むと、見えてくるのが「人を思いやる気持ち」です。アメリカは弱肉強食の格差社会が激しい国です。アメリカンドリームを掴み成功する人がいる一方で、貧困や人種差別に苦しむ多くの人がいます。また急激な経済成長を遂げた半世紀の中の世代間ギャップも激しい国です。その中で子どもたちのやりとりを通してさまざまな心や思いやりを描くスヌーピーは「アメリカの良心」とも言われて愛されているのです。
文学はその国の社会をひもとく鍵
日本の文学と同様に、英米文学においても「文学の言葉」にはいろいろな意味が含まれています。その言葉の裏側に隠された意味を含めて作品をひもとくのが英米文学研究のおもしろさです。例えば「今日は寒いですね」「そうですね」とだけ訳したのでは、会話はそこで終わってしまいます。「今日は寒いですね」には「温かいものでも飲みたいわ」という意味が含まれているのかもしれません。そうした文脈を探りながら訳すことが大切です。アメリカ文学には必ずその時代の現実が反映されています。そこに生まれる人間模様や思想を行間から探り、作家の背後のリアリティを見いだす醍醐味があるのです。
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先生情報 / 大学情報
札幌学院大学 人文学部 英語英米文学科 教授 岡崎 清 先生
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アメリカ文学、アメリカ文化先生への質問
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