教育は子どもたちや若者が「社会をつくりながら」学ぶ時代へ
「社会をつくる」自立を育む視点
教育学には、知識や教養の獲得だけでなく、子どもたちがどのように自立して生きる力を身につけるかといった視点も大切です。得た知識や教養を、実際に活用できる力が必要だからです。学習指導要領は、「主体的、対話的で深い学び」が提唱され、生きる力を育むことを意図しています。それには、地域社会に子どもが関わることで、子どもの自主性や対話性を育て、なおかつ「社会をつくる」経験を積むことがができます。
求められる地域をかえる教育活動
地域社会への関わりの事例として、北海道の安平町にある小学校の取り組みがあります。2018年の胆振(いぶり)東部地震で被災した町を元気にしたいと、小学6年生の子たちの発案により、「8000人の笑顔プロジェクト」がスタートしました。名称の通りに8000人もの笑顔の写真を募集するもので、途中で頓挫しそうになりながらも諦めずに取り組み、SNSなどで活動が注目されて国内外から写真が送られた結果、目標の4倍を超える写真が集まりました。
このように、子どもが主体的に意見を言えて社会参加できる地域活動を、ユニセフは「子どもにやさしいまちづくり」事業として展開しており、全国に広がりつつあります。活動を通じて、子ども自身が自分の住む町に親しみを持つことができ、地域活性化や人口流出対策などにもつながるのです。
教育は子どもたちと未来をつくる時代へ
多忙化がすすむ学校内でも、工夫次第でできることはたくさんあります。例えば、短い休憩時間でも「5分でできることがある」と捉えることで、5分でできる遊びやゲームなどを提案できます。そして、教員は子どもたちに寄り添い、見守り、自分ごととして子どもたちを捉える力が不可欠です。また、若者の引きこもりの対応や居場所づくりの活動を通じた自立支援も緊急の課題となっています。
学校や地域のさまざまなシーンで、未来を担う子どもたちの自主性や主体性を育む機会をつくることができます。それが、日本の未来へとつながっていくのです。
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先生情報 / 大学情報
札幌学院大学 人文学部 こども発達学科 准教授 井上 大樹 先生
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