新しい電力量計(スマートメーター)が創る未来の社会

新しい電力量計(スマートメーター)が創る未来の社会

スマートメーターって、何ですか?

家庭で使われた電力量は今のところ、毎月検針員がチェックして回っています。これを自動化するのが「スマートメーター」です。自動計測したデータを、通信機能を使ってインターネット経由で送受信します。このスマートメーターを使えば、家庭内での電力の使用状況を、24時間365日いつでもチェックできます。集めたデータに応じて電力をコントロールすることができるので、電力を有効活用するのにとても役立ちます。

きめ細かなデータ収集が有効活用のカギ

家庭の電力使用状況について、約500軒を一つのブロックとして、30分間隔でデータを集めます。仮に、何か異常が起こった時に迅速に対処するためには、データ収集にかける時間は長くて5分ぐらいが限度なので、データ通信には迅速さが求められます。集められたデータを分析し、電力会社から何らかの指示を出すことも考えられます。例えば停電などの非常時には、病院や信号など電力を優先的に供給するところと、電気を停めても大丈夫なところを判別して対応するのです。データは一方向ではなく双方向でやり取りするので、効率的な通信方法を確立することが課題となっています。

重要な役割を担うデータ通信機能

データの通信方法は、光ファイバーや電力線を使った有線通信と、無線通信の組み合わせが考えられています。一つのネットワークにつながるメーターが500台にもなるので、通信を的確に制御する必要があり、一案としてデータをバケツリレー方式で、メーターからメーターを経由して送る方法が考えられています。将来的には各家庭での太陽光発電による発電量に応じて、電力会社から供給する電力量をきめ細かくコントロールすることや、ガスメーターや水道メーターの総合的な管理も可能でしょう。外出先から家庭内の電気機器をコントロールできるようになるかもしれません。スマートメーターは未来の社会の一翼を担うシステムとして注目を集めています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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大阪公立大学 現代システム科学域 知識情報システム学類 教授 菅野 正嗣 先生

大阪公立大学 現代システム科学域 知識情報システム学類 教授 菅野 正嗣 先生

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電子情報通信学、情報処理学、電気・電子学

メッセージ

大阪府立大学現代システム科学域知識情報システム学類は、平成24年度に発足した文理融合タイプの新しい学類です。情報システムを人間に対するサービスの観点から追究する新しい学問を構築し、さまざまなサービスを創造できる人材育成をめざします。文系理系を問わず、情報システムに関心のある人なら誰でも大歓迎です。ただし、システムを扱うためには数学的な手法が欠かせません。文系志望の人でも、高校時代に数学をしっかりと勉強して来てください。数学的な知識や思考能力は、社会人となってからもきっと役に立ちます。

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