生命の歴史が刻まれているDNAを読み解く
DNAは生命の設計図
すべての生物は、親から子へと情報を受け継いでいくためのDNA(デオキシリボ核酸)を、細胞の核の中などに持っています。遺伝子として機能するDNAと遺伝子としては機能しないDNAがありますが、それらは生命の設計図とも呼べるもので、そこには、生命の歴史が刻まれています。DNAの研究は、生命について根本から知るためのものなのです。
イチローとあなたも99.5パーセント同じ
この世界に存在する動物や植物の特徴は、まさに千差万別です。では、DNAもそれぞれまったく異なるのかというと、意外とそうでもありません。例えば、人間とチンパンジーとでは、98.7パーセントのDNAは同じ構成であることがわかっています。人間同士の場合はどうでしょうか。実は、まったくの赤の他人同士でも、99.5パーセントのDNAは同じなのです。
地球上の生物は、こんなにも違うのに、DNAのレベルではこんなにも似ているのです。そのDNAを比較していくと、生物の進化について、いろいろなことがわかってきます。
DNAの解明によって期待されること
例えば、私たちの日々の食生活に欠かせない穀物の一つであるコムギは、大きく分類すると数種類に分かれます。それぞれの中でも、パンを作るのに適したコムギ、パスタを作るのに適したコムギなどがあり、さらには背が低いものや病気に強いものなどのように、細かい部分で異なる特徴を持った品種が存在します。これらの品種の中には、大昔から人間の手によって栽培され、掛け合わせなどによって改良されてきたものが数多く含まれています。
こうしたコムギ間の違いが、DNAのレベルのどのような差異から現れているのか、それらを比較・検証する研究が進められると、それぞれのコムギの起源や変遷、進化の仕組みなどが解明されると期待されています。それらは今後のコムギの品種改良など、さまざまな場面で役立てられるでしょう。
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