イメージから謎を解き明かす「地理学」
人間は、幽霊までも作り出す
窓から見える景色を見て、あなたはどう感じますか。見慣れた景色の中にも、不思議な部分は隠れています。あの場所には幽霊が出る、そう言われるホラースポットは日本のいたるところにあります。怖い話だけでなく、「ある有名な巨大遊園地の地下には巨大地下道が通っている」といったような場所にまつわる都市伝説なども数多くあります。こうした都市伝説には人間の持つ場所に対する“イメージ”が大いに関係しています。
イメージの多くは、「昔、○○があった」という過去や、「~らしい」という噂など、人間によって語られたり、メディアにとりあげられたりすることから広がっていきます。人間が場所をどのようにとらえるか、これを研究するのも実は地理学のテーマのひとつです。人間の心の感性や価値観と地域や社会との関係を読み解いてゆく「文化地理学」という学問があるのです。
「こんなところに?」が、地理学の第一歩
今日ではインターネットなどのメディアが発達し、実際に目にせずともイメージを勝手に作ってしまうことがあります。行ったこともないのに好きな国、「なんとなく…っぽい」と思っている場所など、思い当たることはありませんか。知らないことを知っていると思い込むよりも、実際に行って場所の持つ力を感じる「フィールドワーク」にこそ価値があります。フィールドワークで重要なのは、まず自分の目で見て、耳で聞いて、身体を通して考えることです。
修学旅行もフィールドワークのひとつととらえることができますが、残念ながら、修学旅行では有名な観光施設を楽しむことが主な目的となってしまい、地理的な発見をする機会はあまりないのが現実でしょう。
テーマパークに行って遊ぶよりも、歴史や文化の異なるいろいろな場所を訪れ、その土地ならではの食文化を味わう方が、深く楽しめることでしょう。旅行や街歩きをする時に「なんでここに○○があるのかな」と思ったら、それが地理学の研究のきっかけになるのです。
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先生情報 / 大学情報
東京学芸大学 教育学部 人文社会科学系 人文科学講座 地理学分野 教授 椿 真智子 先生
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