建造物の設計に欠かせないコンクリートの強度を測る
建造物には欠かせないコンクリート
道路や鉄道の橋、水道や発電に関連する施設など、建造物をつくるのに欠かすことのできないコンクリートは、セメントが水と反応して固まる性質を利用して砂や石などを混ぜて固めたものです。強度や価格面、扱いやすさなどから、建設資材として広く使われています。丁寧につくられたコンクリートの耐用年数は半永久的なものといわれていますが、引っ張られる力には弱いという性質があるため、鉄筋を入れて補強し「鉄筋コンクリート」として建造物に使われています。
引っ張り実験装置の開発
コンクリートには、外部から力が作用しない場合でも、コンクリート自体の温度変化や乾燥によって引っ張られる力が内部に発生し、弱い部分が壊れてしまう場合があるのです。また、その部分から水などが浸入し、補強している鉄筋が錆びてしまう場合もあります。そこで、コンクリートの引っ張り性能を予め評価することが重要になり、そのための試験装置を開発し実験をしています。
通常、例えば鉄などの均一な材料であれば、細い棒状のものを実験すれば良いのですが、コンクリートは中に2~3cmくらいの石が入っているので、ある程度の太さがなければ実験に使えません。細いものは簡単にまっすぐ引っ張ることができるのですが、太いものは弱い部分が先に壊れて、くの字に曲がってしまい、まっすぐ引っ張り続けることが不可能となります。この装置では、強引にまっすぐ引っ張り続けることができるような工夫がされており、性能評価に必要な正確なデータを得ることができます。
進化したコンクリート設計に向けて
この引っ張り実験によって得られたデータを用いると、より正確なひび割れの発生のシミュレーションができるようになります。
今、土木構造物の維持管理や長寿命化は、国をあげての大きな課題となっています。新しい材料や配合の調整などでより進化したコンクリートを開発したり、構造物をどうやって長持ちさせるかを考えるために、この引っ張り実験はとても大切なものなのです。
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