世界中の電力が、砂漠のメガソーラーから生み出されるかもしれない
環境負荷を「製品の一生」で評価すると
環境問題が世界規模の課題として取り上げられる中、「再生可能エネルギー」を活用した発電技術の研究が、各地で進められています。太陽光や風力、地熱など、複数のエネルギー源が研究の対象になっています。その中で、「製品の一生」、つまり製品の原料づくりから製造、流通・活用、そして廃棄(あるいはリサイクル)されるまでの環境負荷を評価する「ライフサイクルアセスメント」によると、太陽光発電は環境負荷がとても小さいということがわかっています。
砂漠の中に「メガソーラー」を設置できるか?
太陽光パネルは、急斜面や、日陰の原因になる樹木が多い山間部などより、雲や光を遮るものが少ない砂漠地域に設置した方が、より効率的にエネルギーを生み出すことができます。ただし、砂地に大型の発電設備を設置するのは簡単ではなく、また、都市部から遠すぎる場所だと送電ロスも大きくなり過ぎます。そこで現在、衛星写真による「リモートセンシング」で得られた情報を、GIS(地理情報システム)上で重ね、大きな発電量を持つ太陽光発電システム「メガソーラー」を設置できそうな地盤が硬い礫(れき)砂漠や砂利砂漠を探す研究が進んでいます。
世界のエネルギー供給量の4倍以上を砂漠から
研究が進むにつれ、砂漠の中にもメガソーラーの設置に向いている場所が多数あることがわかってきました。それらの場所に太陽光発電設備をビッシリと設置すれば、サハラ砂漠、ゴビ砂漠、タール砂漠など6つの砂漠の合計で、2019年の世界の合計エネルギー供給量の4倍以上の電力が生み出せると試算されています。
近年は、太陽が東から西へと移動してもほぼ同じ効率で発電し続ける、「両面受光型太陽電池」が大量生産できるようになりました。太陽光パネルの主原料となるケイ素は、地球の地殻に豊富に存在するので、枯渇する心配はありません。砂漠のメガソーラーから、世界規模のエネルギーが生み出されるようになる日も近いかもしれません。
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福井大学 工学部 電気電子情報工学科 准教授 伊藤 雅一 先生
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