空間デザインを活性化させる「空間を仮想化し、体験する」技術とは
仮想空間での体験
建物の設計図面を見ても、専門家でない限りそこにどんな建物・空間がつくられるのかをイメージすることは難しいでしょう。しかし3D-CGの技術を使えばバーチャル空間上に手軽に建物をつくることができ、さらにHMD(ヘッドマウントディスプレイ)などのデバイスを使えば、中に入り込んで部屋の間取りや通路の広さ、家具の配置などを体感することも可能です。こうした「空間を仮想化し、体験する技術」の開発が進められています。働き手不足に悩む建設業界では、施工前に建物を評価し、建設作業を効率化させるため、すでにこうした技術が応用されています。
積み木をつくるように
建物やプロダクト(製品)は、既存の技術でも3Dでの表示やデザインをすることができますが、それにはキーボードとマウスを使って、専用のアプリケーションを操作する必要があります。しかし仮想空間表示の技術がさらに発展すれば、HMDを装着した設計者が、手や指を動かして仮想空間上に表示されたパーツをつかむ、引き延ばす、つなげるといったジェスチャーを行うことで、まるで積み木や粘土のように直感的な設計ができるようになります。各ジェスチャーはアプリケーションのコマンドとひも付けられており、さらに複合的な組み合わせにも対応することでジェスチャーが体系化され、自在な設計が可能になります。
空間デザインを活性化
リモートワークやオンライン会議・授業が普及する現在、複数の人々と手軽に共有できる仮想空間へのニーズは高まり続けています。また仮想空間では建物や製品だけでなく、人の会話やモノのやりとりといった抽象的な「概念」も可視化できることから、幅広い分野への応用も期待されます。
空間を仮想化し、体験する技術がさらに発展すれば、これまでは専門家しか立ち入れなかった「空間デザイン」のフィールドに、より多くの人たちが関われるようになります。そしてその体験がフィードバックされることで、空間デザインがさらに活性化されるのです。
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和歌山大学 システム工学部 システム工学科 建築・ランドスケープメジャー 講師 川角 典弘 先生
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