アニメで考える、コンテンツ・マネジメントの現在とこれから
「コンテンツ」って、そもそも何?
例えば日本のテレビアニメは、テレビ放映だけでなく、さまざまな形に派生して展開されています。放送はもちろん、ネット配信、DVD、BDなどのパッケージ、劇場版アニメが作られる場合もありますし、ゲーム、マンガやノベライズ、ミュージカル、声優が歌う楽曲やイベント、キャラクターグッズなど、作品の人気によって、派生するコンテンツ、サービスは膨大なものになります。多種多様な派生も含め、その作品の総体を「コンテンツ」と呼び、コンテンツを創造し、ビジネスとして運用することを「コンテンツ・マネジメント」と呼びます。
製作を支えてきた「製作委員会方式」
一つのアニメ作品を作るには、多額の費用がかかります。以前はテレビ局や広告代理店が中心になって資金を集め、番組を製作することが多かったのですが、『新世紀エヴァンゲリオン』の頃から主流になったのが「製作委員会方式」でした。これは、一つの作品の製作を立ち上げる際、テレビ局、映画会社、映像プロダクション、出版社、レコード会社、広告代理店、玩具メーカーなど、コンテンツから派生するさまざまなビジネスを担う企業が集まり、その作品の製作に必要な資金を出し合うものです。
社会の変化とコンテンツ・マネジメント
製作委員会は民法上の任意組合ですが、この方式だと各企業は一つの作品に対する出資額を適正に抑え、リスクを低減できるため、さまざまなアニメ作品が製作されやすい環境になりました。しかし最近は、かつてビジネスの中心だったDVD、BD、CDなどのパッケージメディアは、利益を出せなくなりつつあります。現在はネット配信、ミュージカル化、さまざまなキャラクター商品の展開など、メディア環境の変化にともない、アニメのみならず、映画、音楽、出版などのコンテンツ・マネジメントでも、新しいビジネスの形が求められています。
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