過去から学んで、現在に生かす! ~経済学の歴史が教えてくれること~

経済学の歴史は役に立つ!
各国間で経済連携協定などを結ぼうとすると、それぞれの思惑で交渉がスムーズに進まないことは多々あります。企業間での交渉も同じで、何か経済のルールを取り決めるときには、それぞれの立場や考え方の違いから議論がなかなか冷静に進められません。そのようなときに助けとなるのが「経済学史」と呼ばれる、学問としての経済学の歴史です。
例えば過去の偉大な学者たちが論じてきたことは、現代社会にも通じることがたくさんあります。また同じような議論や取り組みは繰り返し行われているので、過去の失敗から学べることもあるでしょう。そのため感情的にならず、冷静に交渉や議論を進める上では経済学史の知識や教養がとても役に立つのです。
助け合いを重んじたアダム・スミス
イギリスの経済学者であるアダム・スミスは、著書『道徳感情論』の中で、人間は自分の利益を大事にする「利己心」を持ちつつも、他人との助け合いがなければ生きていけず、「同感(共感)」を重んじている、と説きました。そのために自分勝手な行動は抑えられ、社会の秩序は自然と保たれている、という考えです。一方で自分本位に考える欲望は誰もが持つものなので、どう心の折り合いをつけていくかは今も昔も人間にとって大きな課題と言えます。スミスは他人との助け合いが経済の前提にあるとして、利己心がはびこる経済社会には過去から警鐘を鳴らしているのです。
経済を「鳥の目」でとらえる
経済学史を学べば、同じテーマを扱っていても、さまざまな考え方があることに気づきます。また目の前で起きている現象にとらわれすぎることなく、「鳥の目」と言われるように、経済を大きい視野で見る大切さも教えてくれます。もともと経済学は、人々の日常生活の中から生まれました。私たちの生活の延長線上に経済学があることを日頃から意識したり、古典と歴史から経済学の歩みを振り返ったりすることで、自分の考えの軸をしっかり作っていけるのです。
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専修大学経済学部 生活環境経済学科 教授恒木 健太郎 先生
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